研究課題
昨年度までに、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノムの粒子へのパッケージングに重要なRNA cis-acting elementとしてゲノム3’末端側約200塩基長の非翻訳領域 (3’UTR) を同定した。本年度は、ゲノムパッケージングに関与する粒子構造タンパク質領域の解析を行った。キャプシドタンパク質であるCoreには3カ所の塩基性アミノ酸クラスター; aa 6-13 (CL1), 39-43 (CL2), 59-70 (CL3)が存在する。各クラスターのリジンまたはアルギニンをそれぞれアラニンに置換した変異HCVゲノムを作製し細胞に導入して、ウイルス産生能が保持されるかを調べた。その結果、CL2、CL3変異ではウイルス産生能は完全に消失するのに対し、CL1変異ではウイルス産生能は維持されることが示された。次に、CL2, CL3がゲノムパッケージングに重要であるかを明らかにするためトランスパッケージング (HCVtcp) 解析を行った。CL2またはCL3変異を持つCoreの場合、HCVtcpは全く産生されなかった。さらに、CL2、CL3変異がCore―HCV RNA結合能に影響するかを検証するため、試験管内で合成、精製した変異型また野生型Coreについて3’UTR RNA との結合効率をAlphaScreenで解析した。その結果、CL2またはCL3変異Coreは野生型Coreと同等のRNA結合能を有することが示された。CL1/CL2/CL3とも変異させた場合、RNAとの結合は顕著に低下した。以上の結果より、HCV Coreの塩基性アミノ酸クラスターはHCV RNAとの結合、粒子産生に重要であることが示され、CL2及びCL3はCore-RNA結合後の過程(例えばキャプシドアセンブリー)にも関与する可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
PLOS ONE
巻: 10 ページ: e0115646.
10.1371/journal.pone.0115646.
J. Virol.
巻: 89 ページ: 2220-2232
10.1128/JVI.03385-14.
Jpn J Infect Dis.
巻: 68 ページ: 81-88
10.7883/yoken.JJID.2014.231.
J Gen Virol.
巻: 95 ページ: 2658-2667
10.1099/vir.0.068528-0.
J Virol.
巻: 88 ページ: 7541-7555
10.1128/JVI.03170-13.