ヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)は、乳幼児期に初感染し、突発性発疹を引き起こす。その後人の体内に潜伏感染し、宿主とその生涯をともにする。移植後などに再活性化し脳炎などを引き起こし問題視されている。興味あることにHHV-6Bは活性化されたT細胞に感染して子孫ウイルスを産生することができる。しかし、その宿主受容体は未だ不明であった。我々は既にHHV-6Bエンベロープに存在するウイルス特異的な糖タンパク質複合本を見出しており、本複合体は中和抗体の標的であることを明らかにしている。そこで研究では、我々が同定していたエンベロープに存在する糖タンパク質複合体をbaitとして結合する宿主因子(すなわち受容体)を同定することを試みた。結果得られたタンパク質は活性化したT細胞に存在するCD134であった。そこでCD134が受容体であるという確認実験をいくつか行った。HHV-6B非感受性T細胞にCD134を発現させるとその細胞はHHV-6B感受性となった。また、CD134に対する抗体によってHHV-6BのT細胞への感染は阻止された。以上により我々はHHV-6Bの新規受容体がCD134であることを明らかにした。さらにウイルス側リガンドである糖タンパク複合体の構成成分のひとつであるgQ1の受容体への結合部位を詳細に解析した。 一方でエンベロープに存在するもうひとつの糖タンパク質複合体の詳細な成熟過程を明らかにし、またその複合体はT細胞におけるウイルス増殖には必要ないことを明らかにした。
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