研究課題/領域番号 |
24390117
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 副参事研究員 (10250218)
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研究分担者 |
平田 雄一 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (50439452)
安井 文彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (40399473)
棟方 翼 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (50420237)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 持続感染化 / 宿主免疫応答 / 脂肪変性 / ウイルス排除 |
研究概要 |
我々はこれまでにCre/loxPシステムでHCV遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(Tgマウス)でHCV蛋白質発現に伴う正常な免疫応答が発動することで急性肝炎を発症し、その後も持続的な炎症状態が続き、poly(I:C)投与3-6ヶ月後にはC型慢性肝炎の病態(肝臓の索状構造の乱れ、脂肪化、グリコーゲンの蓄積、繊維化)を発症する事を報告してきた。さらに炎症性単球(IM)およびマクロファージ(Mφ)に着目して解析を進めたところ、このマウスの肝臓内では一般的な急性炎症部位で多く見られるMIMφではなく、慢性炎症部位に見られる炎症性サイトカイン(IL-6, TNFa)を発現するM2Mφが優位に存在している事が分かった。このマウスに組換えワクチニアウイルス(rVV-N25)を接種し、接種後の免疫細胞の動きをFACS解析したところ、肝臓におけるIMおよびMφが減少する事が明らかとなった。rVV-N25による肝臓内のIM,Mφの減少がC型肝炎の正常化に繋がる稼働か調べるために、Mφをクロドロネート(clo)で枯渇させたところ、肝臓の病態が改善し、さらにrVV-N25とCloとの併用でより肝臓の病態が正常化する事が分かった。またrVV-N25により低下する炎症性サイトカイン(IL-6,TNFa)が病態改善に関与するかどうか調べるために、このマウスにIL-6R抗体やTNFR抗体を投与したところ、C型肝炎の病態が正常化した事から、炎症性サイトカイン(IL-6, TNFa)がC型慢性肝炎の病態を引き起こしている事が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性肝炎発症に一般的な急性炎症部位で多く見られるMIMφではなく、慢性炎症部位に見られる炎症性サイトカイン(IL-6,TNFa)を発現するM2Mφが優位に存在している事を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
ウイルスの持続感染で抗原刺激が持続すると、CD8陽性T細胞はPD1分子を表出するようになり、免疫不応答に陥ることが報告されている。PD1およびCTLA4のHCV Tgマウスにおける免疫寛容化への関与を明らかにする。またHCV-MxCre Tg及びHcv感染ヒト肝臓キメラマウス肝細胞でのIFN関連遺伝子発現抑制の機序について、ヒトcDNAチップ及びsiRNAライブラリーにより網羅的に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記研究に使用するヒトcDNAチップ及びsiRNAライブラリーの購入経費とする。
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