研究課題
本研究では、T細胞特異的に発現する核蛋白質Special AT-rich sequence binding protein-1 (SATB1)欠損により、なぜ免疫寛容の破綻が生じるのかを、血球系細胞、またはT細胞特異的にSATB1遺伝子を欠損するコンディショナルノックアウトマウス (SATB1 cKO) を用いて解析を行った。SATB1cKOマウス胸腺では、ポジティブセレクション、ネガティブセレクション共に障害が認められた。その原因を探るために、野生型、SATB1 cKOマウス胸腺から単離したCD4CD8ダブルポジティブ(DP)細胞の遺伝子発現解析を行った。その結果、SATB1 cKOマウス由来DP細胞では、ポジティブセレクションに重要な働きをするThemisの発現低下が認められた。したがって、Themis発現低下がSATB1 cKOマウス胸腺におけるポジティブセレクション障害の一因である可能性が示唆された。さらにSATB1 cKOマウス胸腺におけるネガティブセレクション障害が、胸腺内の微小環境に起因するものかを調べるために、SATB1 cKOマウスをニワトリ卵白アルブミン (OVA) ペプチド特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウス(OT-II)とOVAを胸腺上皮細胞上に発現するRIP-mOVAマウスとかけ合わせた。得られた仔マウスを解析した結果、SATB1 cKOマウスでは胸腺上皮細胞上にOVAが発現していた場合でも、OT-IIT細胞のネガティブセレクションは障害されていた。従ってSATB1 cKOマウス胸腺におけるネガティブセレクションの障害は胸腺内の微小環境によるものではなく、かつ正常な中心性免疫寛容の成立にはSATB1が必要であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Immuology Letters
巻: 163 ページ: 40-48
10.1016/j.imlet.2014.11.007
Journal of experimental medicine
巻: 212 ページ: 809-824
10.1084/jem.20142207