研究課題
昨年度に作成されたMARCH-IをFALGにて可視化したマウス(MARCH-I FLAGマウス)を用いて、MARCH-Iの二次リンパ組織における発現を検討した。脾臓においてはT細胞領域に存在する樹状細胞と思われる細胞群がMARCH-Iを強く発現していた。しかしながらB細胞には発現が弱く、発現の確認にはさらにウエスタンブロット等を必要とする事が明らかとなった。さらに、パイエル板にては、MARCH-Iを顆粒状に発現している興味ある細胞群が存在している事が明らかとなった。昨年度において報告したMHC class II(MHC II)のユビキチン化消失の重要性について、新たなマウスを作成し準備検討を行った。MHC IIのbeta鎖のカルボキシル末端にユビキチンを挿入したノックインマウス(MHC II-ubi-KIマウス)を作成した。このマウスは、胸腺上皮においてMHC II の発現が強く抑制されておりCD4 T細胞数の減少が認められた。脾臓の樹状細胞ではMHC IIの発現が10分の1に減少していた。このマウスから樹状細胞を作成し、MHC IIの発現を調べたところ、脾臓樹状細胞と同様に10分の1にMHC IIの発現が抑制されていた。また、この抑制はLPSによる活性化状態であっても維持されていた。このように、MHC IIのユビキチン化が活性化によって消失しないマウスの作成が終了したことから、MHC IIのユビキチン化消失の意義に関する検討準備が整った。
3: やや遅れている
研究室の移動に伴いマウスのコロニー再構築が必要であった。従って、マウスを用いた計画が若干遅れている。
MARCH-I FLAGマウスを用いてin vivoの樹状細胞におけるMARCH-Iの発現の詳細を観察する。さらに、LPS等で活性化された樹状細胞のMARCH-I発現を経時的に観察する。In vitroにて作成した樹状細胞に抗原を取り込ませた後、CD4T細胞と共培養し、抗原提示の際のMARCH-Iの局在を詳細に観察する。昨年度に作成したMHC II-ubi-KIマウスを用いて、MHC IIのユビキチン化消失が起こらない状況による免疫異常の解析を行う。すでに、MHC II-ubi-KIマウスでは胸腺におけるCD4T細胞の選択に異常があるため、骨髄キメラマウスを作成し、抗原提示細胞においてのみMHC IIのユビキチン化が消失しないマウスを作成する。このキメラマウスを用いて、個体レベルでの免疫応答を検討する。また、in vitroにて樹状細胞を作成し、MHC IIの持続的ユビキチン化がCD4T細胞の活性化にどのような影響を与えるかを検討する。
研究室の移動により、マウスのコロニー再構築に時間を要している。従って、マウスを用いた実験を一部来年度に行わなければならない。MHC class IIのユビキチン化の関与を検討する目的にて、MHC class IIのユビキチン化が消失しないマウスのコロニーを増やし実験に供する。
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