研究課題/領域番号 |
24390124
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
金子 さゆり 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (50463774)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 長期療養施設 / 質評価 / 安全 / 感染 / 薬剤 / アウトカム |
研究概要 |
本研究は、長期療養施設の安全管理およびケアサービスの質評価について、ストラクチャー、プロセス、アウトカムの側面から検証を行い、長期療養施設における安全確保と質向上を目指した科学的かつ合理的な医療・介護サービスを提案し、質改善システムを構築することを目的としている。 本年度は、初年度に実施した多施設横断調査のデータをもとに、長期療養施設における安全と質に関するアウトカム指標に関連するリスク要因について検討を行った。活動や認知に関するアウトカム指標(要介護度、自立度、認知度の維持改善率)と施設ケア要因(ストラクチャー指標とプロセス指標)との関連を分析した結果、要介護度と施設ケア要因では関連がみられず、自立度および認知度では、特養群と老健群において人員配置や客観的指標による入所者の状態把握との関連がみられた。食事や栄養摂取に関する指標(食事摂取機能の拡大率、経管栄養対象者の経口摂取率や経口摂取移行率、褥瘡の治癒改善率や入所後の褥瘡発生率)へは、摂取・嚥下や口腔機能の評価、褥瘡アセスメントの再評価などが関連していた。排泄行動に関する指標(排泄行動の拡大率)へは、排泄ケアカンファレンスの実施、排泄日誌の記載、排尿パターンに合わせたおむつ交換やトイレ誘導の実施が関連していた。薬剤管理に関する指標(内服薬の誤薬件数、点滴や注射の誤投与件数)へは、施設ケア要因との関連はみられなかった。感染管理に関する指標(急性ウィルス性胃腸炎やインフルエンザの発生率)へは、感染対策マニュアルの見直し、感染対策の検討会や勉強会、リスク把握のためのラウンドなどの実施頻度と関連がみられた。施設退所に関する指標(施設内看取り率、在宅復帰率)について、施設内看取り率と夜勤職員配置加算が関連していたが、在宅復帰率については人員配置や介護報酬加算等との関連はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究目的の1つである長期療養施設の安全と質に影響を及ぼすリスク要因の解明を予定通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
関連要因の分析をさらに進め、長期療養施設における安全と質確保に向けたケアサービスのあり方について検討していく予定である。
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