研究概要 |
日本では医療における基礎研究・臨床については国際的にも高く評価されているにもかかわらず,研究成果の具現化である医療機器の製品化について国際的な競争力は米国に大きく後れをとっている.これは医療機器開発において,"医工連携"などによって基礎研究は進むものの研究成果を製品化へとつなぐしくみが良好に機能し難いことを示唆している.特に,研究成果から生じる知的財産については,現実には技術移転が困難なことが多く十分に活用されない状況も散見される,その原因として,既存の特許などの評価指標の定量化が困難で客観性を得難いこと,汎用的な評価指標であるため治験・薬事申請などを必要とする医療機器には適していないことが挙げられる,そこで本研究では,医療機器に特化した知的財産の定量的な評価指標を確立したうえで,その有用性を評価し,かつ妥当性を検証することを目的とした. 平成24年度には,"医産連携"を促進させるための手法として,産学連携・知的財産に関する大学・研究機関・産業界の研究者・専門家らとの議論を参考に,研究成果として創出される知的財産を定量的かつ合目的に評価するための項目と手法を選定した.評価指標の主たる項目は,特許取得に関わる権利化への技術的可能性を考慮した特許性,製品化への可能性を考慮した事業性,オーファンデバイスとしての価値や治療概念の新規創出にもつながるインパクトなどを考慮した社会性の3つで構成した.これらの主たる項目より下位には各々詳細な指標を設定し,特に社会性については,医療従事者からの観点,患者・介護者からの観点および社会全般的な観点を反映できるように配慮した,なお,実際に本指標がどの程度有効であるかについては,今後さらにその妥当性などを検証する,
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当研究センターにおけるこれまでの知的財産などからモデルケースとなる適切な事例を抽出し,本研究による評価指標の有用性と妥当性の検討を開始する.なお,モデルケースとなる事例に係る秘密の保持については,充分に留意しつつ遂行する。
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