研究課題/領域番号 |
24390137
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
粕谷 善俊 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70221877)
|
研究分担者 |
須藤 龍彦 独立行政法人理化学研究所, 化合物ライブラリー評価研究チーム, 専任研究員 (30260227)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 炎症 / 肺疾患 / p38 / 遺伝子改変マウス / 細胞治療 |
研究概要 |
これまでの研究計画年度内に、申請者等が作出したSP-C-p38d.n./TG(構成的に肺胞II型上皮細胞(AEC II)内のp38を活性を下げたマウス)および SP-C-MKK6c.a./TG(構成的に AEC II 内のp38を活性上昇を促すマウス)を用いて、以下の成果を得ている。 A) ブレオマイシン(Bleo)誘導性肺線維症の発症の重篤度が、SP-C-MKK6c.a./TG > 野生型(WT)マウス > SP-C-p38d.n./TGとなった。この現象を説明するkey moleculeとして、気管支肺胞洗浄液(BALF)の網羅的な蛋白解析から、IL-6およびG-CSFに着目し、それぞれの中和抗体の効果を検討した。その結果、病態進展初期におけるAECII由来IL-6の細胞保護効果と、G-CSFによる線維化促進作用を見出した(いずれも論文準備中)。 B) 肺を酵素消化することにより得た初代培養細胞群(mixed culture)から、浮遊および易剥離性細胞を回収し、LMDEC(Lung Mix culture-Derived Epithelial Cell)と名付けた。LMDECの移植はBleoによる肺線維症に対して顕著な治療効果があるとともに、WTに比べてSP-C-p38d.n./TGからLMDECの収量が高いこと、また、WTからLMDEC調整時にp38阻害剤を与えるとLMDECの収量が上昇することを見出した。さらに、LMDECは、SP-Cおよび成熟血球マーカー:CD45に共陽性というこれまでに報告のない特性を示すとともに、成体肺内に実在し、肺障害に応答してその数を増やした(論文投稿済み-Revise中)。 C) タバコ煙液+LPSの経気管的投与によって新たに確立した肺気腫マウスモデルに、SP-C-MKK6c.a./TGを供すると、WTに比べて肺の気腫化が悪化することを見出すとともに、300種超のサイトカイン/ケモカインのBALF内発現変動プロファイリングを行い、AEC II内のp38活性の上昇が肺気腫(COPD)のdriving forceになりうることを証明した(論文 2014 in press)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度計画に準じて、各テーマの設定目標をクリアしている。また、細胞治療のテーマに関しては、予想以上に進展が見られた。
|
今後の研究の推進方策 |
各テーマを当初の設定目標に沿って、さらに発展させていく。誘導性炎症性肺疾患-遺伝子改変マウス(triple TG mice)に関しては、作出に必要な各single TG miceの樹立は終えているため、それぞれの導入遺伝子が機能し得るか否かを詳細に確定後、triple TG miceが期待する病態所見を示すか否かを追跡していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究計画は次年度が最終年度となるため、例年より多くの予算を成果(論文)発表経費に割くことになる。したがって、基金に関しては、敢えて使い切ることなく対応したため。 翌年度分として請求した研究費と合わせ、半分強を物品費に充てるが、残りは、成果発表に重点を置き、成果発表に伴う学会参加"旅費"、投稿原著論文のnative checkに関わる"謝金"、論文投稿・掲載/別刷費としての"その他"経費に使用する。
|