研究課題
1.申請者等が新たに同定した肺内に存在する肺胞上皮前駆細胞(LMDEC:Lung Mixed Culture-Derived Epithelial Cell)の移植が、ブレオマイシン負荷による肺線維化に対して治療効果を示すこと、そのメカニズムとして、肺線維化の病態進展時に肺内で発現上昇するケモカイン:CXCL12(本来、profibrocyteのrecruitmentを誘導し線維化に促進的に関与)が、LMDECに高頻度に発現するCXCR4の刺激によって、病態部位への移動とI型肺胞上皮細胞(AEC)への分化を促すことを見出した。LMDECは、II型AECマーカー:SP-Cおよび分化血球マーカー:CD45を同時に発現するユニークな細胞で、II型AEC の亜種として存在し、正常肺のAECの0.25%を占めるsmall populationではあるものの線維化肺でその数が増加すること、また、SP-C-p38d.n./TGマウスを用いた解析から、細胞内p38活性の低下がLMDECの出現を増強させることも確認し報告した。さらに、LMDECをin vitro増幅する培養調整液に、肺気腫の治療効果等を見出し、特許申請を行った。2.申請者等の作出したSP-C-p38d.n./TGマウスおよびSP-C-MKK6c.a./TGマウスを、野生型マウス(WT)とともにブレオマイシンによる肺線維化モデルに供し、層別化した病態アウトプットに相関し発現変動するサイトカインを網羅的解析から絞り込むとともに、それらの中和抗体の効果から、IL-6およびG-CSFの線維化への密接な関与を見出した。特にIL-6が、炎症期にはII型AECの生存亢進を介した線維化抑制作用を示し、慢性期・線維化進展期には線維化細胞の増殖を介した線維化亢進作用といった相反する作用を示すことを実証した(論文投稿中)。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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