研究実績の概要 |
熱帯熱マラリア原虫アルテミシニン耐性モニタリング 近年、アルテミシンに対する耐性原虫の出現・伝播がカンボジアを中心とする東南アジアで報告されていたが、2014年にK13-propeller遺伝子がその耐性に関連していることがArieyらによって報告された。この報告によりK13-propeller遺伝子における点変異(特にC580Y, R539T及びY439H)がin vitroでのparasite survival rateやin vivoでのparasite clearance rateに相関すること明らかとなった。私達はケニアのビクトリア湖の島々(Kibuogi, Ngodhe, Takawiri及びMfangano島)及び湖畔の集落(Ungoye)で、マラリアの分子疫学調査を2012-2013年にかけて展開しており、同時期に収集したサンプルをretrospectiveに解析した。この解析では539サンプルのK13-propeller遺伝子の塩基配列を同定することに成功し、4種類の非同義置換と5種類の同義置換を確認することができた。これらの変異は5か所の調査地域で共有されるものは認められなかったが、Mfangano島で認められたA578S変異は同地域で半年の時間的解離を認める複数のサンプルで確認できた。今後、経時的にK13-propeller遺伝子のモニタリングを続けることは、今後予定される集団治療が地域原虫集団に与える変化を見極めるうえで重要な課題である。
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