研究課題/領域番号 |
24390144
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
前川 真人 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20190291)
|
研究分担者 |
渡邉 裕司 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50262803)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | エピゲノミクス / 胎児プログラミング / 予防医学 / 極低出生体重児 / グライコミクス / グライコブロッティング法 |
研究概要 |
胎児期の環境が出生後の生活習慣病の素因を形成するという胎児プログラミング仮説がある。出生時、低体重だった子供は体脂肪が増えやすくなり、また大人になってからも2型糖尿病、高血圧などといった病気を引き起こしやすくなるというものである。そのメカニズムとして、子宮内環境を反映し、胎児体内でエピゲノムの変化により倹約遺伝子を発動するため、出生後もそれが持続し生活習慣病になりやすいという仮説を構築した。そこで我々は低出生体重児の成人後の耐糖能の研究を発展させオミックス解析を行うと共に、新しく出産から児の成長過程を追跡する前向きコホート研究を計画した。 昨年度の報告書に記載したように、予定していた保存検体が事故による停電で使用できなくなってしまったため、別の研究室から出生体重の情報の付随した臍帯血を使用させてもらい、その時に既に表現型として異なる性質が発現していないかどうかを調べる実験系を計画し、グライコミクスを検討対象とした。北大の西村教授の開発したグライコブロッティング法によって、糖鎖のみを特異的に回収し、N-グリカンに焦点を絞って、低出生体重児群(出生時体重2500g未満)36例と正常出生体重児群(出生時体重2750~3250g)120例の2群に分けて、グライコブロッティング法により糖鎖発現プロファイルを分析した。現在、結果を臨床情報などとも照合しつつ、解析している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた保存検体が不慮の停電で使用できなくなってしまったため、計画していたゲノム、エピゲノムの解析は中止とし、別途、他の研究室で研究目的に保管されていた出生時の記録のある臍帯血の血清をいただいて、グライコミクス解析を行った。膨大な生データが得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
生合成経路における個々の糖鎖の関係を考慮したグライコミクスは、疾患バイオマーカーとしての糖鎖の探索のみならず、それぞれの病態による糖タンパク質生合成メカニズムへの影響を考察する上でも重要であり、糖鎖の生合成に関わる酵素の増減をも推察させ、酵素蛋白量のバランス、すなわちプロテオミクスの解析、トランスクリプトミクスの解析にも繋がるものと期待される。最終年度であるため、得られた成果をとりまとめ、成果の発表を論文として行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた保存検体が不慮の停電で使用できなくなってしまったため、計画していたゲノム、エピゲノムの解析を行うことができなくなった。従ってそれらに使用する予定であった消耗品などの購入は控えてグライコミクス解析に使用したが 、若干予算が少なくてすんだため。 最終年度に押さえと確認の実験にあてる予定である。
|