研究課題
基盤研究(B)
本研究では我が国の癌の3分の2を占める5大癌(胃癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、乳癌)等の組織・血清試料とこれまで培ってきた網羅的ゲノム・プロテオーム解析技術を基盤として、癌の発症リスクから未病状態および疾患発症・増悪を早期に感知する統合的病態診断系を開発し、その迅速な癌予防・診断・治療への展開による癌年齢層の健康寿命の延長をめざし、当該年度は、以下の通り解析基盤(技術・試料)の確立と血清バイオマーカー候補分子の同定を行った。1.5大癌(胃癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、乳癌)等の臨床試料収集と迅速多検体解析:それぞれの癌種につき各種サンプルセット(早期癌診断時、進行期癌診断時、根治的外科手術前後、健常者)の臨床試料(組織・血清等)の蓄積を行い、解析可能な試料を用いて網羅的遺伝子発現情報解析等で独自に同定した癌バイオマーカー候補の血清解析や免疫組織化学染色を行った。2.5大癌(胃癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、乳癌)のゲノム・プロテオーム解析情報と臨床情報の統合化:得られた血清、癌組織検体の臨床情報の収集を進めるとともに、これまで同定した癌バイオマーカー候補につき、正常臓器組織やがん組織におけるゲノム解析情報、予後相関情報を各種データベースならびに独自解析により集積し、癌特異的バイオマーカー開発の情報基盤の構築を開始した。また、これまでに同定・確認された日本人集団においてゲノムワイド水準で有意な再現性を示す発癌リスク遺伝子多型の基盤情報の収集を進めた。
2: おおむね順調に進展している
5大癌の臨床試料と情報の集積を進め、利用可能な試料と独自に同定したバイオマーカーについて解析を実施するとともに、得られた情報を統合した癌特異的バイオマーカー診断の情報基盤の構築を開始できたため。
平成24年度に得られた結果を基にして、第2段階として、引き続き選出された血清バイオマーカー候補および網羅的発現情報解析で癌組織における高レベルの遺伝子発現が確認されたバイオマーカー候補の抗体やプライマー等を入手・作製して、多数の癌患者群での発現分布と臨床病理学的評価(疫学因子、組織型、分化度、病期、予後との相関)を進め、癌組織バイオマーカー分子の同定を行う。
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