研究課題/領域番号 |
24390147
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
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研究分担者 |
小林 大介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50295359)
栗林 景晶 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50381257)
後藤 真希 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60452976)
細野 雪江 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80579897)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腫瘍マーカー / IAPファミリー / 自己抗体 / 大腸癌 / 大腸ポリープ |
研究概要 |
癌の血清学的診断に、各種腫瘍マーカーが汎用されている。しかし、感度および特異度の面で未だ満足すべき結果が得られていない。また、遺伝子診断法については感度は高いものの、試料採取上の問題から対象が限定される、検査コストが高く一般化しにくいなどの問題点がある。 IAPファミリー分子は、固形癌から造血器悪性腫瘍細胞まで癌種を問わず高発現しており、正常細胞ではほとんどみられない。本研究では、このような特性を生かし、複数の抗IAPファミリー抗体検出系を組み合わせた癌の血清学的診断法の実用化を試みている。 平成25年度は、未治療の大腸癌(176例)およびその前癌病変である大腸腺種(250例)を対象とし、3種類の抗アポトーシス分子(Survivi,Livin,XIAP)に対する自己抗体に加え、抗p53自己抗体、CEAやCA19-9など既存腫瘍マーカーの血中濃度を測定し、その診断学的意義について評価した。 その結果、大腸癌の陽性率については、CEA(35.2%)が最も高く、抗p53自己抗体(29.0%)、抗Survivin自己抗体(24.4%)の順であった。早期癌(Stage0+I)に限ると、抗p53自己抗体(20.0%)、抗Survivin自己抗体(15.0%)の順で、両者を併用すると陽性率は35.6%まで上昇した。 一方、大腸線種に関しては、他の陽性率が1.2~3.2%であったのに対し、抗Survivin自己抗体のそれは18.4%と際立って高かった。この結果は、adenoma carcinoma sequenceとの関係で極めて興味深く、腫瘍マーカーの開発と併せ、発癌機構における各分子の意義についても解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸癌および前癌病変である大腸腺種患者を中心に、血清試料や組織型および病期を含めた臨床背景情報が日々集積されつつあり、当初計画した各項目の測定も順調に進んでいる。抗IAP抗体が認識するエピトープの解析も終了し、本検出系の普遍性も確認した。高感度スクリーニングアレイの作製は若干遅れているが、上述の解析で候補分子が決まれば、直ちに着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に記載した方針に従い、特に大きな変更は無く、研究を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部の実験が、平成25年度と平成26年度の両年度で行うこととなったため。 次年度使用額478,374円は、癌を含む各種組織や腫瘍細胞におけるIAPファミリー分子のmRNAおよび蛋白発現量の解析等に使用する。
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