研究課題
村上・堀らは仔ラットを離乳後から集団飼育群、隔離飼育群、Tickling刺激群(快情動喚起/隔離飼育)に分け、脳組織(扁桃体・側坐核・海馬・前頭前野)において発現変動する遺伝子を網羅的に解析した。その結果、扁桃体で多くの遺伝子やmiRNAが変動し、社会隔離ストレスと快情動喚起では、異なったPathwayが抽出された。また、アドレナリンα受容体遺伝子やmiR-375-3pなどは個別飼育により発現が変化するが、Tickling刺激によって適正化された。これまでの研究から幼若期の快情動を喚起する経験が、ストレス耐性の獲得や恐怖記憶の消去に重要な役割を果たすことを見出したが、その脳基盤として扁桃体の微少環境の変容があることが示唆された。仙波らは、身体運動により神経障害性疼痛(NPP)が緩和されるメカニズムについて検討した。坐骨神経部分損傷(PSL)により作製したNPPモデルマウスに、術後2日目から5日間、トレッドミルによる走運動を行わせた。機械的アロディニアと熱痛覚過敏は、走運動により有意に緩和された。また走運動はPSLマウスに生じる脊髄後角でのGAD 65/67と GABAの減少を抑制し、ミクログリアにおけるヒストンH3K9のアセチル化を高めた。これらの結果から、脊髄後角でのGABA産生の維持とミクログリアにおけるepigeneticな転写活性化が、走運動によるNPPの緩和に重要な役割と担うと思われる。睡眠障害と不安は、慢性痛患者のQOLを著明に低下させる。成田らは、PSLマウスにおいて睡眠障害を起こすメカニズムを、optogeneticな手法を用いて検討したところ、前帯状回におけるastrocyteの活性化および青斑核のNAニューロンが関与することがわかった。さらにPSLマウスの扁桃体における遺伝子発現を網羅的に解析し、疼痛により惹起される不安に関連する蛋白を同定した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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