研究課題/領域番号 |
24390154
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50313747)
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研究分担者 |
横山 彰仁 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (30191513)
濱田 典彦 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (50423471)
審良 正則 独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター), 放射線科, 部長 (20393267)
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
近藤 格 独立行政法人国立がん研究センター, がん研究所, 部長 (30284061)
弘田 量二 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (20448385)
栄徳 勝光 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (50552733)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 石綿関連疾患 / コホート研究 / 画像診断 / 検診 |
研究概要 |
石綿関連疾患のうち、石綿肺asbestosisでは、両側下肺野優位にびまん性の不整形陰影を認める。また、胸壁、横隔膜などの胸膜肥厚は、しばしば石灰化を伴い、石綿曝露に特徴的な所見として知られる。わが国では、1960年のじん肺法制定時より、このILO分類の体系を踏襲してじん肺エックス線分類を作成し、国内での分類方法に用いている。デジタル写真への対応も進んでおり、2011年より標準写真集の電子媒体版も使用されるようになった。 問診表により、各受診者の職種、職歴、呼吸器症状、既往歴、喫煙歴の情報を得た。すべての胸部エックス線写真は、NIOSH Bリーダーにより、ILO分類に基づく読影表を用いて読影された。モニターは2画面、画素数2メガピクセル以上のものを使用し、標準写真は「じん肺標準エックス線写真集」電子媒体版を使用した。対象者はすべて男性で、年齢は39歳から75歳、平均56.7歳であった。対象者の職種は多岐にわたり、約3割が大工、その他主には電気工、左官、配管工などであった。喫煙歴のある者は全体の75%を占めていた。 今回読影された全2991例の胸部エックス線写真のうち、悪性中皮腫を疑う所見を認めるものはなかった。石綿関連疾患を示す胸部エックス線所見として、胸膜斑が11.6%(346例)、小陰影が1.2%(36例)に認められた。小陰影と胸膜斑の合併は0.5%(14例)に認められた。10年以上石綿作業に従事したことがある者、鉄骨などに吹付けられた石綿の除去作業の近くで作業をしたことのある者、吹付けられた石綿の近くで作業をしたことがある者、天井裏に入って作業したことがある者は、胸膜プラークの有所見率が有意に高かった。小陰影と胸膜プラークの有所見者の割合は合わせて12.3%にのぼり、特に50代以降で増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
業務の煩雑さから、現場の医療機関との協力関係の維持が困難となっている。これまで収集したデータ及び検体を活用して実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
上記の如く、これまで収集したデータ及び検体を活用して、研究を総括する予定である。また、海外の肺がんCTスクリーニング研究グループ(I-ELCAP)との情報交換を行っており、蓄積されている膨大なCTスクリーニングの画像データを活用して職業曝露の評価を進められる環境があるため、近年、肺がんスクリーニングを目的として石綿健康診断においても、随時なされているCT検査の評価も併せて実施したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
多の用務と重なる部分については、旅費など節約するなどの処置があり、最終年度に持ち越しができたことが主であるが、担当していた大学院生の出産などによる人員の欠員によって、多少の遅れが生じていることも一因である。 まとめの年として、これまでの成果発表を精力的に実施する。また、検体保存用のフリーザが満杯となっているため、これについては年度前半に購入予定である。
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