研究課題
【目的】欧州連合(EU)の健康リスク評価委員会は若年者を中心としたMP3プレーヤーの爆発的普及によりEU域内で250-1,000万人が騒音性難聴により聴覚を失う危険性を警告し、対策を開始した。一方、日本では欧州連合に比較して対策が遅れている。本研究では、まず、ヒトを対象とした疫学研究により、日本の若年者が曝露されている騒音の現状を把握する。次に、疫学研究の結果を基に、若年者が曝露されているレベルの騒音が誘発する健康被害(難聴)の発症機構を、動物を用いた実験医学研究にて解明する。さらに、騒音性難聴を制御する分子を標的とし、内服で騒音性難聴を緩和できる予防療法の開発をめざして、研究を遂行する。【成果と考察】本研究における疫学研究では、8k Hzの聴力とMP3プレーヤーの音圧との間には、有意な相関関係を認めなかった。これは、被験者の数が少ないことに加えて、MP3プレーヤーを用いて、日常的に大きな音圧で音刺激を受けている被検者が、ほとんどいなかったことも影響していると考えられる。そこで、現段階では、結論を保留し、今後は対象者の数だけでなく、バリエーションを増やして検討を進める。さらに、騒音に対する健康影響について、可聴域騒音に限定せず、非可聴域まで広げて、周波数(Hz)毎に調べる必要があると考えている。また、日本だけでなく、バングラデシュにおける疫学研究でも、喫煙と8k Hzの聴力と相関関係を認めた。ゆえに、聴覚に影響を与える環境因子としては、喫煙は大変重要であると考えられる。動物実験では、騒音性難聴の制御に関わる複数の分子を選別できているので、今後は、騒音性難聴の予防療法を含めた薬物の開発を進めたいと考えている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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