研究実績の概要 |
平成19年度より出生前コーホート研究である「九州・沖縄母子保健研究」を開始し、ベースライン調査、出生時、生後4ヶ月時、1歳時、2歳時、3歳時、4歳時、5歳時追跡調査に各々1,757名の妊婦、1,590、1,527、1,430、1,362、1,306、1,267、1,214組の母子が参加した。1歳までに1,492組の母子から遺伝子検体を得た。現在、6歳時及び7歳時追跡調査を実施している。別途、平成24、25年度に横断研究である「九州・沖縄3歳児健康調査」を実施し、6,598名が質問調査票に回答し、その内の3,855名から遺伝子検体を得た。 母親の妊娠中における総乳製品摂取量が多いほど、子の2歳時におけるISAACという疫学的診断基準で定義されたアトピー性皮膚炎に予防的であった。妊娠中のチーズ摂取量と2歳時の医師診断喘息との間に有意な負の関連を認めた。妊娠中のヨーグルト及びカルシウム摂取量が多いほど2歳時における医師診断アトピー性皮膚炎に予防的であった。一方、妊娠中ビタミンD摂取量と2歳時のISSACによるアトピー性皮膚炎との間に有意な正の関連を認めた。 母親において、IL5RA遺伝子多型rs17881144とアトピー性皮膚炎との間に有意な関連を認めた。また、TSLP遺伝子多型rs1837253とアトピー性皮膚炎との間に有意な関連を認めた。 今後は、「九州・沖縄母子保健研究」と「九州・沖縄3歳児健康調査」のデータを用いて各種環境要因と幼児期アレルギー疾患との関連を調べる。次いで、両データを統合し、3歳児における約5千名の集団から喘鳴、喘息及びアトピー性皮膚炎の症例対照研究を設定し、各種遺伝子多型との関連及び遺伝要因と環境要因との交互作用を評価する。
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