研究課題
本研究の目的は、循環器疾患(脳卒中および急性心筋梗塞)発症の動向(循環器疾患発症登録研究)とそれら疾患の危険要因(この場合、悪性新生物を含む)の新たな発見およびその寄与の大きさの推移を明らかにする(コホート研究)ことを目的とする。循環器疾患発症登録研究および生活習慣病コホート研究のいずれも滋賀県高島市で実施している。なお、循環器疾患発症登録研究は1988年以降継続しており、生活習慣病コホート研究は2002年以降継続している。1988年から2014年12月末現在までに、循環器疾患発症登録研究における悉皆登録により、脳卒中症例を3307例を登録した。発症状況を精査したところ発症の内訳は初発例2753例、再発例は554例であった。また、急性心筋梗塞症例770例を登録した。その内訳は初発696例、再発74例であった。登録症例のうち1990年から2010年12月までの初発例を用いて脳卒中および急性心筋梗塞の発症の推移について観察したところ、出血性脳卒中(脳出血およびくも膜下出血)は依然わずかではあるが減少傾向を示したのに対して、脳梗塞は一貫して微増傾向を示した。また、急性心筋梗塞の発症率もわずかながら増加傾向を示した。また、同時に実施している高島市におけるコホート研究では、2011年までに7563名(男性2887名、女性4676名)の同意協力者を得た。これらの同意者について、ベースライン調査として生活習慣に関する問診、老健法基本健診もしくは特定健診に定められている検査および本調査で実施している追加検査を実施した。また、遺伝子試料を含む生体試料も併せて採取した。現在、第二次ベースライン調査を実施している。コホート対象者の追跡調査の結果、死亡532例、転出181例、悪性新生物発症568例、脳血管疾患発症165例、急性心筋梗塞発症49例を登録した。
2: おおむね順調に進展している
コホート研究におけるベースライン調査の実施および生活習慣病の病院採録による発症登録ともに計画通り進んでいる。
当初の計画に従って発症登録研究およびコホート研究を進めていく。
平成26年度に予定していた高島コホート研究の第2次ベースライン調査(健診業務)において、当初予定していた人数に達しなかったこと、すなわち未受診者が多かったことが次年度使用額が生じた理由である。
前年度と同様に平成27年度においてあらかじめ計画されていた調査地域において高島コホート研究の第二次ベースライン調査(健診業務)を実施する。併せて、平成26年度の第二次ベースライン調査の未受診者を対象にあらためて受診勧奨を行い、予定の受診者数を確保する。この追加業務を行うに際して昨年度未使用分を使用する。
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