研究概要 |
本研究の目的は、福岡市東区住民約13,000名からなる「生活習慣病予防を目指したコホート研究(九州大学福岡コホート研究)」の基礎調査および追跡調査に基づき、(1)ビリルビンと2型糖尿病リスクとの予防的関連を前向き研究によって検証するとともに、(2)ビリルビン代謝と抗酸化酵素系の機能的遺伝子多型と糖尿病リスクとの関連を検討することである。本年度は、2型糖尿病およびその他の主要疾病の罹患把握を目的とした九州大学福岡コホート研究の5年後二次調査を完了した。調査対象12,694名のうち11,730名(92,4%)の協力があり、さらに非回答者に対して罹患把握のために簡易健康調査を別途実施した。548名(4.3%)から簡易健康調査への回答があり、合計で12,278名(96.7%)の回答が得られた。また、10,427名(82.1%)がヘモグロビンAlc及び血清ビリルビン測定のための採血検査に協力した。ビリルビン関連遺伝子多型に関する研究では、九州大学福岡コホート研究の基礎調査でDNA提供を受けた12,628名を対象に、ビリルビン抱合化酵素であるUGT1A1遺伝子のTAリピート多型とG211A(Gly74Arg)多型、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)遺伝子のGTリピート多型と-413T>A多型のタイピングを行い、基礎調査時のビリルビン値との関連を横断的に検討した。血清ビリルビン値はUGT1A1のTAリピート多型およびG211A多型と強い関連(P<0.0001)を認めた。一方、HMOX1は女性では-413T>A多型との関連を認めたが、男性では関連がみられなかった。また、ビリルビン値の規定因子について横断研究を行い、肥満、喫煙、コーヒー飲用が血清ビリルビンの低値と関連していた。
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