両親世代・胎児期から小児期、小児期から成人初期(18歳)の要因が成人期以降に発症する疾患に与えるリスクをFamily-basedライフコース遺伝疫学的アプローチにより検証することが目的である。前年度に引き続いてデータベースの更新と仮想的世代間コホートを構築することに取り組んだ。第1コホートとして、1937年から2001年出生の1800組よりなる大規模双生児家系長期縦断データベースの更新を行った。ライフコースを通じての分析が可能となるよう、追跡データの項目確認を行った。第2コホートとして、郵送法質問紙調査により全国に存在する多胎育児サークルから入手した両親および双生児のデータベースの更新を行った(1958年から2011年出生の956組)。全国の多胎育児サークルとの繋がりは重要であり、今後研究を深めていく上で意義のあるものになった。多胎児では生殖補助医療時の発生頻度が高いことを考慮して、生殖補助医療に伴う先天異常発生状況のデータベース(公表されている既存データの二次利用)の更新も行った(2004年~2012年出生)。 解析結果をもとに、成人期以降発症疾患の世代間伝達・ライフコース疫学モデルの構築を行った。国際共同研究を行っているヘルシンキ大学医学部の教授等と研究打ち合せを行い、モデル構築の序言を得たり、情報交換を行った。 生殖補助医療における単一胚移植の推進にもかかわらず、近年の多胎出生は鈍化傾向を示しており、短期・中長期予後を含めて引き続きモニタリングをする必要性が示唆された。
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