研究課題/領域番号 |
24390172
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
佐田 文宏 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (90187154)
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研究分担者 |
内山 茂久 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (40524236)
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任教授 (80112449)
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
小島 弘幸 北海道立衛生研究所, 理化学部, 主幹 (10414286)
小西 香苗 松本大学, 人間健康学部, 講師 (70238103)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 母子保健 / 低出生体重 / 一塩基多型(SNP) / DOHaD / 発育 / マイクロRNA(miRNA) / 核内受容体 / 食事パターン |
研究概要 |
本研究は、主に2万人規模及び500人規模の既存の出生コホート研究から得られた生体試料、データを用い、胎児期に曝露されている化学物質等の環境要因及び遺伝要因の児の発育に及ぼす影響等を検討し、以下の成果が得られた。 1)発育との関連が報告されている異物・ステロイド代謝酵素・受容体・結合蛋白遺伝子等の血中ステロイド濃度に影響を及ぼすことが報告されている遺伝子多型の中から、解析候補-塩基多型(SNP)を選び、児の発育との関連を解析した。CNTN6遺伝子近傍のSNPは、胎児の発育と関連がみられ、LHCGR、SHBG、UGT2B15遺伝子近傍のSNPは新生児の体格指標との関連がみられた。 2)揮発性有機化合物(VOC)の高感度分析法として,イオン液体を脱離溶媒としたヘッドスペース法の開発を行った。2-ハイドロキシピリジンを脱離溶媒とし,ガスクロマトグラフィー質量分析法で検出することにより,sub-ppbレベルのVOCが分析可能になった。 3)北海道スタディで得た妊婦の血清マイクロRNA(miRNA)を指標として、喫煙による児の出生時体重への影響および将来の生活習慣病のリスクを予測する分子疫学研究の準備を進めている。現在は血清miRNAの抽出法および解析法の確立に向けた基礎的検討を行っている。 4)ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)は生活習慣病と関連の深い核内受容体である。日本人で確認されているPPARalpha遺伝子多型V227Aの影響について、環境汚染物質で残留性の高い有機フッ素化合物(PFOS,PFOA等)との反応性を細胞アッセイ法により調べた。 5)若年成人女性における不適切なダイエットによる低栄養や偏った栄養摂取などが問題になっている。妊娠中の母体の栄養問題は妊娠前からの栄養状態を含めて考える必要があり、妊娠前「やせ」であった母親では児が低出生体重となるリスクが高いことが言われている。今年度は次世代を担う女性(若年成人女性)を対象にその栄養状況を把握するために評量法による3日間の食事調査を行い、その栄養素・食品の摂取状況及びその食事パターンについて分析を行った。また、生活習慣や食習慣に加えて身体的・精神的健康度についても調査を行い、食事パターンとの関連を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に、主要な倫理的な手続きを完了し、必要なデータや生体試料の提供を受け、現在、解析を進めている。関連する分担研究も、予備研究(実験)を経て、本研究の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
北海道スタディの小規模コホートの解析を先に進め、その後、大規模コホートの解析に集中する予定である。特に、胎児期環境と出生後の成長軌跡との関連の解析を、分担研究と連携し、進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究を継続し、胎児期の化学物質曝露、遺伝・エピジェネティック要因の子どもの発育との関連の検討する予定である。特に、子どもの発育へのリスク評価・リスク予測(化学物質曝露レベル、小児BMIリスクスコアによって層別化、体重、身長、BMI、成長曲線、SDスコア、低出生体重、SGA、幼小児期の過体重、肥満のリスク予測、ハイリスクグループの検出)、ハイリスクグループの予防対策の検討(妊婦に対する禁煙指導、妊娠時の適度な体重増加指導を含む食生活指導、乳幼児に対する食生活指導、生活習慣病対策など具体的な保健指導プログラムの立案)を実施する予定である。
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