研究課題
基盤研究(B)
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)は世界全体では死因の4位であり、米国では全死因の5,7%を占め、2008年から脳卒中を追い越して、死亡原因第三位になった。日本では中高年の喫煙率が高く、超高齢化社会を迎え急速に患者数が増加することが予測されている。しかしながら、不思議なことに2009年の統計でCOPDは日本の全死因の1.3%であり、全死因の10位を占めるにすぎない。本研究の目的は、日本の都市住民コホート研究である吹田研究と米国の大規模循環器疾患コホート研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)で、共通のプロトコールの元にCOPDの成因を比較することで、COPDと冠動脈疾患の共通リスク因子があるかどうかを明らかにすることである。本年度は研究体制を整えることが、目標である。そこで、米国ピッツバーグ大学公衆衛生学教室との研究ミーティングを日本および米国で各々1回、Web会議を10回行い、日本でのfull lung CT scanおよび冠動脈石灰化スコア測定のために、被曝量を必要最小限にする方法を検討し、日米で比較可能な標準化された撮影条件を決定した。次いで、厳密にCOPDを診断するため、既にMESA Lung Study IIで行われているpost-bronchodilator spirometryについて、MESA Lung Study IIチームが検査の講習を日本で実施する準備をおこなった。これで、日米で呼吸機能検査結果を比較できるようになる。また、日米の測定値の精度管理を担保するため血液検体を米国ピッツバーグ大学で測定できる体制を構築した。
2: おおむね順調に進展している
日米でそれぞれ合同会議を行うとともに、Web会議を頻繁に行い国際共同研究の研究体制を構築した。
多施設共同研究に必要な検査の標準化、コアラボによるデータ解析に加え、コミュニケーションを十分実施し、言語や研究体制の異なる日米間の国際共同研究をすすめる。研究に必要な対象者のリクルートと調査の実施が次年度の課題となる。
平成24年度実施予定であった検査が次年度に延期となったため、検査料を繰越しすることとなった。よって、平成25年度は繰越金と次年度予算とで以下の検査を実施予定である。胸部CT検査、呼吸機能検査、血中イソフラボン濃度、血中n-3系脂肪酸濃度測定1.国立循環器病研究センターが実施してきた吹田コホート研究から50歳から74歳の男性喫煙者(過去に喫煙歴があるものを含む)250名を選出し、研究参加の説明と同意取得を行う。2.研究参加者に呼吸機能検査、胸部CT検査(full lung CT scan、冠動脈石灰化スコア算出)、研究採血、問診を行う。3.full lung CT scanの画像データと血清を米国ピッツバーグ大学に送付し、MESALungStudyと共通したプロトコールでCOPDの画像解析、血中イソフラボン濃度、血中n-3系脂肪酸濃度を測定する。4.冠動脈石灰化スコアの算出をMESAと同じプロトコールで国立循環器病研究センターの放射線診療部で行う。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)
J Atheroscler Thromb.
巻: 19 ページ: 58-64
10.5551/jat.13599
Hypertens Res
巻: 36 ページ: 58-64
10.1038/hr.2012.133
巻: 20 ページ: 195-203
10.5551/jat.14936
巻: 19(4) ページ: 369-75
10.5551/jat.11536
Investigators JS
巻: 53 ページ: 275-84
10.1016/j.jjcc.2011.12.009