研究課題/領域番号 |
24390177
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大澤 資樹 東海大学, 医学部, 教授 (90213686)
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研究分担者 |
尾崎 有紀 東海大学, 医学部, 研究員 (80636118)
中留 真人 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (90263251)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゲノム / 突然死 / QT延長症 / 次世代シークエンサー |
研究概要 |
乳幼児と青年男性に好発する原因不明の突然死において、剖検や組織学的検査で形態学的異常は検出できても、生理学的異常を主な病態とする疾患を確認することは難しい。そこで次世代シークエンサーを用いた死後遺伝子検査(postmortem genetic testing)から多くの疾患の原因遺伝子を網羅的に解析し、生前の疾病を推定することを試みている。乳幼児突然死症候群(SIDS)症例において、QT延長症といった不整脈疾患や先天性中枢性低換気症候群など神経疾患の原因となる遺伝子配列の検索を続けている。昨年度には、インフルエンザ感染症の経過の中で突然死した1歳児において、KCNQ1遺伝子エキソン15内Cリピート部位にC1塩基挿入を検出し、現在論文として投稿中である。本年度には、突然死の危険因子として知られている喫煙について、分子疫学的な連鎖解析を実施している。多数あるタバコ成分の中でも、胎盤透過性や胎児毒性をもつニコチンは注目されており、ニコチン代謝の遺伝的多型現象がSIDS発症に影響していないか検討した。ニコチンはCYP2A6により酸化代謝を受けるが、4型は遺伝子の欠失型で、特にそのホモ接合は代謝の欠損症に相当し、東アジア人で4型の頻度は高い。健常成人を対照群とし、SIDSが疑われた症例群と二群間比較を行ったが、統計学的有意水準には達せず、喫煙と突然死発症に関連性を認めなかった。一方で、活用を期待している次世代シークエンサーについては、Life Technology社製のIon PGMシステムを購入し、リード長を改良した結果、課題であったphaseの問題がおおむね解決できたので、来年度に本格的に応用を試みてゆくことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた次世代シークエンサーによる関連遺伝子の網羅的解析は、解析方法の確立に遅延が生じてしまった。次世代シークエンサーとしてIon PGM(Life Technology社製)を購入したが、納入が遅れた上、作動後もいくつも問題が生じた。特に、通常の方法で得られる200 bp程度のリード長では、phaseの問題がどうしても残ってしまうことは重大な問題であった。しかし、制限酵素反応の時間や機器作動時の温度等を改良した結果、400 bp程度のリード長まで得られるようになり、問題点がかなり改善されたので、来年度に重点的に実例の解析を実施してゆく予定である。一方で、剖検では十分に死因が解明できず、病的な原因が推定された症例の遺伝子解析については、医の倫理委員会の承認を得た上で、遺族からの書面による同意をいただき、検体を収集している。これについては、現在40検体余に及んでおり、収集を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサー機器の利用法がかなり確立できてきたので、研究は進展すると考えている。昨年度と同様に、実験補助者1名を加えることにより、研究の発展が加速されることを期待している。最終的には、検出された変異と想定される疾病との直接的な関係性の判断が重要となる。しかし、データの蓄積は不十分と思われ、遺伝子内の変異ごとに詳細な病態や臨床像の確立が課題となると予想している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次世代シークエンサーの実施方法の確立に手間取り、十分な検体のDNA解析に至っていないために、次年度へ予算をまわし、有効に使用したい。 次年度は、次世代シークエンサーを中心にDNA解析を広範に実施してゆく計画である。DNA解析用試薬を重点的に購入し、研究のペースを上げてゆく必要がある。
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