研究課題
乳幼児と青年男性に好発する原因不明の突然死において、剖検や組織学的検査で生理学的異常を主な病態とする疾患を確認することは難しい。そこで死後に遺伝学的検査から生前の疾病を推定ために、次世代シークエンサーを用いて網羅的な解析を実施してきた。特に、乳幼児突然死症候群(SIDS)症例において、QT延長症といった不整脈疾患や先天性中枢性低換気症候群など神経疾患の原因となる遺伝子配列の検索を続けている。本年度には、難航していた次世代シークエンサーIon PGM(Life Technology社製)の操作も修得でき、解析がやっと軌道にのってきた。ただし、繰り返し配列には解読ミスも多く、確認作業が大変となることも分かってきた。従来実施してきたSIDS事例に加え、Brugada症候群と不整脈源性右室心筋症と生前に診断を受けていた成人発症の突然死例に対しても解析を実施した。候補となるような変異も検出できたが、表現型の関係が重要となるが、データの蓄積は不十分で、遺伝子内の変異ごとに詳細な病態や臨床像の確立が必要である。また、喫煙と突然死には有意の関連性があり、ニコチンの主要代謝酵素であるCYP2A6には酵素活性の欠損症が日本人集団には多いので、連鎖解析を実施している。最後に本年度は、死後遺伝学的検査の倫理的側面について、論文検索から海外の状況を調べた。欧州やオーストラリアでは、死後で院学的検査に対するガイドラインが提案され、小児死亡例に対し臨床から遺伝カウンセラーまで総合的に対応する体制ができている。一方で、わが国では小児のQT延長症が保険適応されたものの、死亡例にまで対応する体制は全くなく、対応を急ぐ必要性を認識したので、この点も含めて学会等の場で訴えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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