研究課題
HCV関連肝発癌モデルであるコア遺伝子Tgマウスを主に用いて研究を行なった。本マウスではC型肝炎ウイルス・コア蛋白を肝臓でヒト患者と同様に発現しており、組織学的な炎症不在の下に早期の肝脂肪化を経て肝細胞癌を発生する。①肝特異的activation-induced cytidine deaminase(AID)遺伝子強制発現マウスとのかけあわせ、②肝特異的AID遺伝子欠損(ノックアウト=KO)マウスとのかけあわせ、を行ない肝発癌におけるウイルス因子との相互作用、相加・相乗作用について解析した。HCVコア遺伝子発現マウスと肝特異的AID遺伝子KOマウスとの掛け合わせで得られたマウスstrain HCV-Tg/AID-/-の解析を行なった。HCV-Tg/AID+/+と比較し、20か月齢のHCV-Tg/AID-/-における肝発癌頻度には違いがなかった。HCV-Tg/AID+/+では、AID-/-マウスに比して肝脂肪化がより強く、肝内サイトカイン発現も高度であった。また、AID遺伝子mRNAは正常マウス肝組織では発現が軽度であり、また肝実質細胞そのものでなく、非実質細胞(免疫細胞)で発現していた。HCV関連肝発癌においてAIDは直接的な役割を演じてはいないと考えられた(Nguyen T, Moriya K, Koike K, et al., Int Immunol 2014;26(7):397-406.)。一方、肝特異的AID遺伝子発現マウスとのかけあわせで得られたダブル・トランスジェニックマウスHCV-Tg/AID++/++では90%のマウスに肝癌を含む肝腫瘍を生じており、炎症による遺伝子傷害がHCVタンパクと肝発癌において相乗作用を持つことが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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