研究課題
基盤研究(B)
IBDの予防と寛解維持を目的に、プロバイオティクス候補としてClostridium butyricum(CB)を詳細に検討した。これまで、他の研究グループからClostridium coccoides(Cluster IV),leptum(Cluster IVXa)の46種類のカクテルの報告はあったが、Cluster Iに属するCB単菌での効果は不明であった。1)CBには健常時は、coccoides,leptumカクテル同様、強力に免疫抑制性のFoxp3+制御性T細胞をノトバイオートシステムで誘導すること明らかとした。2)CBは急性DSS腸炎を抑制することを明らかとしたが、制御性T細胞は炎症時には減少し、逆にIL-10産生性のマクロファージが増加していることがわかった。3)制御性T細胞が存在しないRag-2欠損マウスDSS腸炎モデルにおいてもCBは腸炎抑制効果を認めた。4)しかし、マクロファージ特異的IL-10欠損マウスではCBの腸炎抑制効果が認められなかった。5)さらに、CBを幼児期無菌マウスに接種するとDSS腸炎を抑制することも明らかとした。以上、すでに、プロバイオティクスとして用いられている安全性が確認されているCBにおいて、プロバイオティクスのユニークな作用機序;すなわち、CBは健常時は制御性T細胞、炎症時には抑制性マクロファージと二相性にin vivoで作用することを初めて明らかとした。本成果はCell Host&Microbeに投稿し、現在、改訂中である。
2: おおむね順調に進展している
これまで知られていなかったプロバイオティクスの二相性の機能についてはこれまでに報告がなく、医学界に多大なインパクトを与えるものと考えている(Cell Host & Microbe. in revision)。一方、ヒト免疫細胞への役割、臨床試験への準備といった点が、今後の課題と考えている。
すでに安全性が証明されているプロバイオティクスを炎症性腸疾患へ適応拡大するために、容量、投与ルートなどを綿密に計画し、多施設二重盲検試験へ進展させるべく推進して行く。さらに、無菌マウスを用いて、先制医療(予防医療)への可能性を検討して行きたい。
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Gut
巻: (in press)
Gastroenterology
巻: 148(Epub 2012 Jul 28.) ページ: 1288-1297
10.1053/j-gastro.2012.07.108.