研究課題/領域番号 |
24390195
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | p53 / 細胞老化 / 生活習慣病 |
研究概要 |
加齢に伴って、糖尿病や動脈硬化、高血圧などの生活習慣病の罹患率が増加し、その結果、虚血性心疾患や脳卒中の発症の基盤病態となっている。しかし、加齢がどのようにしてこれらの疾患を増加させるのかについては明らかとなっていない。通常ヒト正常体細胞は、ある一定回数の分裂増殖後、細胞老化とよばれる分裂停止状態となる。本研究では、加齢に伴って生じる組織における老化細胞の集積、あるいは、p53依存性細胞老化シグナルの活性化が、寿命や加齢関連疾患の病態生理に関与する可能性があるという仮説を証明することを目的とする。 これまで我々は、血管内皮細胞においてテロメアの機能不全を誘導すると、p53依存性細胞老化シグナル活性化とともにNO合成の低下や炎症性分子発現の亢進といった内皮機能障害が誘導されること、ヒト動脈硬化巣においてp53/p21の活性化や老化した血管細胞の集積が認められること、動脈硬化モデルマウスにおいて、p53/p21を欠失させることによって、動脈硬化の形成が抑制されることなどを報告してきた。 平成24年度には、血管内皮特異的p53欠失マウスに加えて、血管内皮特異的p53活性化マウスの樹立に成功した。これらのマウスモデルの血管内皮機能を見てみると、高カロリー食負荷に伴う血管拡張機能の低下は、p53欠失により改善していること、逆にp53活性化によって拡張機能低下が認められることがわかった。さらに、高カロリー食負荷に伴う血管新生能の低下に関しても、p53欠失により改善していること、逆にp53活性化によって血管新生能の低下が認められることも明らかとした。これらの結果により、加齢や過食に伴う血管機能の低下には、p53依存性細胞老化シグナルの活性化が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管内皮特異的p53欠失マウスに加えて、血管内皮特異的p53活性化マウスの樹立に成功しており、その解析も順調に進んでいるから。
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮特異的p53欠失マウスや血管内皮特異的p53活性化マウスを用いて、血管老化と代謝制御についても検証していくとともに、細胞老化システムを用いた細胞機能障害の発症機序の解明をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に所属機関が異動となったため、使用計画に変更が生じた。遺伝子改変マウスモデル等の実験資源の移設を進めるとともに、上記の目標に基づいて、消耗品や試薬費等を中心に予算の使用を進める予定である。
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