研究課題
メタボリックシンドロームの各疾患の病態進行の原因となる内臓脂肪の慢性炎症の誘発や持続には、マクロファージが産生する分泌タンパク質AIMが深く関与している。本研究では、AIMがどのようにそのプロセスに関わるかを明らかにし、AIMの制御による病態進行の制御を目標とし研究を行った。これまでの研究により、AIM KOマウスに高脂肪食を与え、肥満を誘導すると脂肪肝が亢進することがわかったっていたが、さらに、AIM非存在下ではほぼ100%の確率で肝癌を誘発することが明らかになった。このことから、AIMには癌を抑制する効果があることが示唆され、さらに解析を進めることにより、AIMが癌細胞の細胞表面に特異的に付着することにより、補体系の活性化を介して癌細胞に細胞死を誘導し、マクロファージがそれを除去することにより肝癌を抑制する効果があることを見出した。また、上記結果から、肝障害や肝臓癌とAIMの血中濃度の関連性が示唆されたことから、実際にヒトにおける血中AIM濃度と肝障害・肝癌との関連性について解析を行った。肝癌を含む肝疾患患者および健常者の血清サンプルを入手し、AIMの血中濃度の大規模測定を行い、AIM血中濃度および各肝障害マーカーの値を比較したところ、肝障害が進行すると有意に血中AIM値が高くなることを見出し、AIMが新たな肝癌の指標となり得る可能性を見出した。このように、本研究から、AIMの血中濃度と肥満・生活習慣病の進行の関連性が明らかになり、また癌抑制効果等の新たな機能が明らかになった。さらにAIMの体内安定性の調節機構を解明し、AIMを疾患の指標として用いたり、あるいは疾患の予防・治療に応用するための多くの有用な知見が得られた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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