研究概要 |
研究代表者等は、ES細胞及びiPS細胞を用いた独自の系統的心血管細胞分化系を構築し、心血管分化再生に関する研究を行ってきた(Nature, 2000; Circulation, 2008他)。 研究代表者等は最近、下記1)-6)の血管分化・形成に関する新たな知見を見出した。1)cAMPによる内皮細胞動脈化機構(J Cell Biol, 2010)、2)PKAによる内皮細胞分化促進機構(Blood, 2009)、3)オピオイドのPKAを介した内皮分化・血管形成抑制作用(Blood, 2011;表紙)、4)成体におけるオピオイドの抗血管新生・抗腫瘍作用(未発表)、5)RSKファミリーの血管分化・形成抑制作用(未発表)、6)血管形成を制御する新しい内皮特異的マイクロRNA (miR)の同定(未発表)。 未発表である4)-6)の新しい分子標的を応用した新規血管制御治療戦略の開発を行うことを目的とした。 4)に関して、カッパオピオイド受容体シグナルが、VEGFを抑制することによって腫瘍血管新生を抑制することを示し、報告した(Yamamizu, Sci Rep, 3: 3213, 2013)。また新しい幹細胞分化機構解析方法として、CRISPR/Cas9によるゲノム編集法を遺伝子プロモーター部分の改変に用いることにより、cDNAクローニングなどの手順を経ることなく、簡便に遺伝子ノックアウトや過剰発現系を作製する方法を開発した。同システムを内皮細胞分化途上において用い、Flk1遺伝子を操作することにより、内皮細胞分化を制御できることを明らかにした(Matsunaga, Biochem Biophys Res Commun, 444; 158-163, 2014)。またヒトiPS細胞からの高効率内皮細胞分化誘導法を開発した(投稿準備中)。
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