研究課題/領域番号 |
24390200
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
石川 義弘 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40305470)
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研究分担者 |
藤田 孝之 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40468202)
横山 詩子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70404994)
市川 泰弘 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10555121)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自律神経 / 心機能制御 / cAMP / カテコラミン / 分子 |
研究概要 |
アデニル酸シクラーゼによって産生されるcAMPが、下流で制御する新規G蛋白調節因子(Epac)の役割をPKAと比較しつつ、「cAMPシグナルネットワーク」として「心機能・保護作用の調節」の観点から、関連因子とともに網羅的に検討していく。Epacは30年ぶりに同定されたPKA以外のcAMPの新規標的分子であり、RapなどのG蛋白制御など様々な細胞機能において役割を果たす。本申請によってcAMPシグナルネットワークの心臓における役割を明らかにしていく。重要課題の一つが、PKAによるフォスフォランバンのリン酸化の調節メカニズムであり、我々はこの制御はPKAだけではおこらず、Epacが必須の役割を果たしている事を先行実験から見出した。同様にアデニル酸シクラーゼによって産生されるcAMPは、無秩序に下流の標的分子であるPKAあるいはEpacを活性化するのではなく、関連蛋白の発現量の変化や細胞内局在性により、細胞死の制御も含めて異なる役割を果たすと考えている。これは心臓におけるcAMPシグナルネットワークの多様性な分子メカニズムとしての意義を実証するものであり、心不全をはじめとする各種心疾患に対する新しい治療法の開発を促すことになる。Epac1欠損動物では、軽度の心機能低下がみられること、フォスフォランバンのリン酸化の変化がみられること、慢性カテコラミンストレスや圧負荷ストレスに対して、心機能低下が起こらないことが判明した。また培養心筋細胞では、PKA刺激によってフォスフォランバンのリン酸化が亢進するが、Epac刺激によってもリン酸化が亢進することがわかった。これらの発見から、フォスフォランバンのリン酸化にはEpacを介する系が、PKAを介する系と独立して作用する事、さらに分子生物学的な検討から、PLCを介した系が重要な役割を果たすことがわかった。これらの系は心機能制御に重要な役割を果たすことが考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験における心機能変化や細胞内シグナル系の変化が、細胞実験でも確認された。このため我々の仮説が、本筋において正しいことが証明されたため。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子操作動物の実験予定を一部翌年度の施行に変更した。このため動物費用を持ち越した。翌年度は培養心筋細胞による検討を進めるとともに、遺伝子操作動物での検討を進める。それらの結果に基づき、心機能制御とどのような相関を持つのかをシグナルネットワークの観点から考察していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記実験に必要な遺伝子操作動物の調整を進めるとともに、必要な細胞培養、試薬費用に充てる予定である。Epac遺伝子改変動物を中心として,コロニーサイズを調達することにより,実験に必要な個体数を確保する。さらにcAMPシグナルの変化を細胞内キナーゼ活性の測定も含めて行うために,PKC及びPLCなどのサブタイプ,特異的な〓〓および抑制剤を用いて〓〓していく。実験に必要となる遺伝子操作動物の個体数〓確保が計画通り進まなかったため,予定していた細胞培養¥細胞実験が一部〓り延べとなった。〓4に伴い,培養及び実際に実験に必要となる物品購入を行わなかったため未使用物が発生した。
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