研究課題
自律神経によって心臓をはじめとする主要器官の機能が制御されている。とりわけ交感神経末端から分泌されるカテコラミンは、心筋膜表面上のアルファないしベータカテコラミン受容体に結合して、G蛋白質を活性化する。活性化されたG蛋白質は下流の酵素活性を制御することにより心機能を強力に制御することが知られている。カテコラミンの標的酵素であるアデニル酸シクラーゼは、細胞内cAMPを産生する。このセカンドメッセンジャーは、古典的にはPKAを活性化させるが、近年では、新規G蛋白調節因子であるEpacが第二の標的因子として注目を集めている。そこで、このEpacの役割を、古典的な第一因子であるPKAと比較しながら、心筋細胞におけるcAMPシグナルネットワークの構成因子として、心機能の調節と心不全発症の観点から、他の液性因子とともに網羅的に検討した。平成27年度の研究では、ベータ受容体刺激と心機能制御に対してアデニル酸シクラーゼの果たす役割を報告すると共に、心筋細胞内で受容体シグナルと下流酵素の共役について報告を行った。これまでに心筋細胞に発現する多種類のサブタイプがどのような共役をしているのかは不明な点が多かったがその重要な一部が解明された。さらにEpac自身が細胞増殖や遊走性の制御に果たす役割についても報告を行った。これらの所見は病態生理を理解するだけでなく、将来の治療法にも役に立つ。本研究によってcAMPシグナルネットワークの心臓における役割を最新の知見として明らかにすることができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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