研究課題
平成28年度には血管壁損傷部位に動脈血流下にて接着するマイクロメートルスケールの血小板細胞の受ける流体力を、実際に接着を支えるナノメートルスケールのGPIbalphaとvon Willebrand因子(VWF)に還元するモデルを作成した。平成27年度に予測した単純なモデルとは異なり、細胞が受ける流体力を動脈血流下にて300 pN程度と実証的研究により予測し、単一のGPIbalpha/VWF結合の生み出す65 pNの結合が最低5分子程度必要であることを示した。また、実際に血小板細胞の接着を支える数個のGPIbalpha分子は、流体力によりVWFから引き剥がす力を受けるので、分子の受ける外力を分子を構成する原子に還元した。GPIbalpha, VWFを構成する各原子も外力を受けるとすると、外力下のエネルギー的安定構造は外力非存在下とは異なることを示した。この外力下に一過性に出現する構造を標的とすれば、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈血栓性疾患を選択的に予防して止血血栓の形成を阻害しない画期的創薬につながる可能性を示した。GPIbalpha分子内にG233V変異体を作成した。変異体におけるGPIbalphaとVWFの重心間距離と結合エネルギーの関係を定量化した。wild typeと異なり、G233V変異体では重心間距離依存性に安定構造が2ヶ所以上存在した。G233V変異体ではGPIbalpha分子とVWF分子は一度結合すると離れにくい性質を持つことを予測した。パーソナルゲノムに応じた個別症例の接着動態予測を可能とする方法の基盤を作成した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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