研究概要 |
「研究目的」気管支喘息患者の約1096はステロイド抵抗性の重症喘息である.抗IgE抗体療法が重症喘息で有効性を示すことから.IgE抗体およびIgE受容体陽性細胞が重症喘息の病態に関わることが示されているが,詳細な分子機構は不明である.申請者らは,IgE受容体のシグナルを抑制する免疫受容体,アラジン-1(Allergin-1)を同定した.Allergin-1遺伝子欠損マウスにダニ抽出物で喘息を誘導したところ,血清1gE抗体価及び気道抵抗が亢進した.このことから,Allergin-1は喘息の症状を抑える働きがあり,重症喘息治療の標的分子となる事が示唆された.そこで,Allergin-1の喘息症状を抑える分子機構を明らかにすることを目的として,平成24年度では,Allergin-1リガンドを同定することを試みた. 「研究成果」 1,Allergin-1リガンド発現細胞を明らかにした: Allergin-1の発現局在を明らかにするため,ヒトAllergin-1細胞外領域とヒトIgGlFc領域を融合したAlg-Fcキメラ蛋白を用いてフローサイトメトリー法により解析し,Alg-Fc蛋白が結合する細胞株を見出した,さらに,この結合は抗Allergin-1抗体により完全に阻害されることから,Allergin-1に特異的に結合する分子がこの細胞株に発現することが示された. 2,Alg-Fc結合分子のプロテオーム解析:Alg-Fcが結合する細胞溶解液からAlg-Fcを用いてAlg-Fc結合分子を免疫沈降後,プロテオーム解析し,Alg-Fcに結合する細胞膜分子を明らかにした.また,この分子のリコンビナント蛋白がAllergin-1発現トランスフェクタントに結合することも確認した.
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