研究課題/領域番号 |
24390206
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
檜澤 伸之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00301896)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 喘息 / Phenotype / COPD / ネットワーク / AhR / IL-17 / IL-12 |
研究概要 |
1.喘息Phenotypeの同定:喘息は多様な分子病態から構成される症候群であり、この多様性が疾患発症のみならず疾患の重症度や薬剤に対する反応性の多様性にも大きな影響を与えている。 申請者は性別、年齢、発症年齢、呼吸機能、IgE反応性、喫煙状況などの8項目によって880名の成人喘息患者を対象にクラスター解析を実施した。判別分析では発症年齢と一秒量が最も強い判別因子であった。さらにCCL5遺伝子及び旭RB2遺伝子と、特に中高年発症で気流制限が強く、アレルギーや喫煙による影響も窺われるいわゆるオーバラップ症候群との関連が認められた。 2.喘息における遺伝子間ネットワークの同定:これまでに複数の遺伝子解析で疾患との関連が報告された遺伝子やゲノム網羅的な遺伝子解析(GWAS)にて同定された遺伝子をPubMedにて検索した。喘息では108個の遺伝子が同定された。Ingenuity Pathway Analysisプログラムを用いて、この108個の遺伝子の機能的な情報に基づいたネットワークの構築を試みたところ11個の独立したネットワークが同定された。一方、喘息の一つのPhenotypeとしてCOPDとのオーバラップが注目されている。COPDについても同様の検討を行い、10のネットワークが同定された。興味深いことに喘息における11のネットワークとCOPDにおける10のネットワークにおいて229個の分子が両者にオーバラップしていた。229分子の機能的な情報からは、両疾患に共通する分子pathwayとして、Ary1 hydrocarbon受容体シグナルやIL17A、IL17FさらにはIL12のPathwayの重要性が浮かび上がってきた。 これまでの成果は喘息分子病態の多様性の解明に向けた、今後の研究の基礎的なデータになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
喘息Phenotypeの同定及び喘息におけるネットワークの解析については既に英語論文として報告している。さらに、喘息分子病態の多様性における希少遺伝子変異の役割についても、特に重症喘息に検討対象を絞り、現在エクソーム解析の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの我々の研究結果や他グループからの論文・学会報告も参照しながら、IgEや喘息に関する遺伝子解析、さらには個々の喘息Phenotypeにおける遺伝因子の役割の検討を一層進めていく。同時に薬剤反応性遺伝子の同定に向けた検討も進めていく。
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