研究課題
我々は喘息病態とその多様性を明らかにするために、これまでに日本人において喘息や血清総IgE値を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施してきた。成人喘息ではTSLP、小児喘息ではHLA-DPなどの遺伝子を同定・報告した。また、880名の喘息患者を対象にクラスター解析を実施し、6つの成人喘息クラスターを同定した。CCL5遺伝子やADRB2遺伝子と特定のクラスターとの遺伝的関連を報告し、より明確なPhenotypeを有する喘息患者を対象とした遺伝解析を行うことで、新たな喘息感受性遺伝子を同定できる可能性を示した。今回、成人GWASのサブ解析として、①喫煙の影響がほとんどない喘息、及び②40歳以上で発症した喘息を、対象としたGWASをそれぞれ施行した。喫煙の影響が少ない患者を対象としたGWASからはHAS2遺伝子、40歳以上発症の喘息を対象としたGWASからはPBMUCL2遺伝子がそれぞれ新規喘息感受性遺伝子として同定された。さらに、非喘息健常者967名を対象とし、一秒率に対してGWASを行った。欧米におけるGWASにて一秒率との関連が報告された24遺伝子のうち16遺伝子において日本人においても遺伝的関連が示唆された。16遺伝子の遺伝子型に基づいて個々人の呼吸機能関連Risk scoreを算出した。Risk scoreは1秒率と強く関連したが、1秒量の経年的変化とは関連がなかった。いずれのコホートにおいても喘息患者において有意にRisk scoreが高値を示した。クラスター分析などを用いて喘息表現型の分類が多数行われている。しかしながら、対象とする喘息集団や統計学的手法の違いによって、同定されるPhenotypeの特徴は必ずしも一致しておらず、直ちに臨床に応用できる状況にはない。今後、同定されたPhenotypeにどのような分子病態が関連しているのかを明確にすることで、より臨床的な応用が期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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