研究課題
基盤研究(B)
平成24年度は研究実施計画に沿って抗ポドプラニン抗体を中心に検討を進めた。まず、悪性胸膜中皮腫細胞(malignant mesothelioma : MPM)株および腫瘍組織におけるポドプラニン抗原発現を詳細に検討したところ、細胞株では73%(11/15)、腫瘍組織では92%(33/36)に発現を認めた。そこで抗ポドプラニン抗体(NZ-1)のヒト・キメラ抗体NZ-8を作製し、機能解析をin vitroおよびin vivoにて検討した。フローサイトメトリー法による検討では、NZ-8はNZ-1と同程度にMPM細胞を認識した。またNZ-8はポドプラニン発現MPM細胞に対して、ヒト末梢血単核球をエフェクター細胞とした抗体依存性細胞傷害活性(antibody-dependent cellular cytotoxicity : ADCC)を示した。エフェクター細胞の解析では、NK細胞たADCC潜性を認めたが、単球ではADCC活性は検出されなかった。以上から、NZ-8のADCCにはNK細胞が重要である可能性が示された。一方、NZ-8のADCC活性は、ヒト単核球をエフェクター細胞とした場合、NZ-1に比較して有意に高いADCC活性を示した。さらに、補体依存性細胞傷害活性(complement-dependent cytotoxicity : CDC)についても、NZ-8はNZ-1に比較して高い活性を示した。ACC-MESO-4細胞のSCIDマウス皮下移植系を用いた検討では、ヒトNK細胞とNZ-8を投与した群で、有意に腫瘍増殖抑制効果が確認された。またNZ-8は、NZ-1に比較し有意に強力なin vivo腫瘍増殖抑制効果を示した。以上から、ヒトキメラ抗ポドプラニン抗体NZ-8を用いた臨床応用の可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
抗ポドプラニン抗体NZ-1のヒトキメラ抗体NZ-8を作製し、抗腫瘍効果の第一段階の検証が終了した。さらに本研究については、学会発表および論文発表を行っており、全体の研究計画の中で抗ポドプラニン抗体に関する研究は順調に進んでいる。免疫抑制機序の解析も同時に開始できていることから、当初の研究計画通り順調に進んでいると思われる。
抗ポドプラニン抗体NZ-8の抗腫瘍効果の検討を、悪性胸膜中皮腫の同所移植モデルを用いて行うとともに、ADCCに関する免疫抑制メカニズムの解析を進める。
繰越金2,257円は平成24年度経費として使用しており、平成25年4月支払予定である。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (21件)
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