研究課題
SCIDマウスにおけるヒト悪性胸膜中皮腫細胞の同所移植モデルを用いて、抗ポドプラニン抗体NZ-1およびヒトキメラ抗体NZ-8による抗腫瘍効果の追加検討を行った。それぞれの抗体治療は抗癌剤であるペメトレキセドとの併用により抗腫瘍効果の増強が認められ、抗がん剤との併用治療が有用であることが示唆された。一方、悪性胸膜中皮腫細胞をin vitroで、抗癌剤存在下に培養すると、ポドプラニン発現が一過性に低下することを見出した。この現象は、抗癌剤と抗ポドプラニン抗体の併用療法を行う際には、その投与スケジュールに工夫が必要であることを示唆している。さらに新たなヒトキメラ抗ポドプラニン抗体であるNZ-12を作成し、抗腫瘍効果を検討した。その結果、NZ-12は従来のヒトキメラ抗体NZ-8に比較して、明らかに高い抗体依存性細胞障害活性(ADCC)および補体依存性細胞障害活性を示し、同所移植モデルにおける抗腫瘍効果も高いことを確認した。以上から、臨床応用に向けた抗体として新たにNZ-12を用いた検討を進めている。また抗体による抗腫瘍効果に関連するエフェクター細胞の遊走因子の同定を試みた。NZ-1投与下の腫瘍組織とコントロール抗体投与下の腫瘍組織によるマイクロアレイ解析から、エフェクター細胞の遊走に関連すると考えられるいくつかの分子を同定した。その分子群の中には、血球系細胞の遊走に関与する分子であるS100A8あるいはS100A9が存在した。我々の用いている抗ポドプラニン抗体のエフェクター細胞はNK細胞であり、S100A8あるいはS100A9のNK細胞に及ぼす作用について検討を進めている。NK細胞によるADCCを介した抗腫瘍効果にこれらの分子の関与が証明されれば、遊走因子を応用した効果的な抗体治療法の開発につながる可能性があると思われる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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