研究課題
基盤研究(B)
慢性腎臓病(CKD)の増悪に関わると推察されるカルボニルストレスバイオマーカーをスクリーニングするために、まずモデル動物を作成した。6週齢雄性Sprague-Dawley(SD)ラットに1%メチルグリオキサール(MG)を4週間飲水投与し、血漿・尿・腎組織サンプルを得た。得られた血漿サンプル中のタンパク質を2次元電気泳動により分離した。水道水を与えたコントロール群と比較してMG投与群では複数個のタンパク質スポットにおいて変化が認められたことから、カルボニルストレスのバイオマーカーの候補を発見することができた。現在は詳細な解析により、同マーカー候補の同定を検討しているところである。上記実験と同時に、当初研究計画には含まれてはいなかったが、ヒト腹膜透析排液ならびにラット大網由来の腹膜中皮初代培養細胞実験系を立ち上げた。MGなどのカルボニルストレスはヒトならびにラットの腹膜中皮細胞に対して上皮間葉転換(EMT)を引き起こして繊維化を促進させることが明らかとなっているので、この培養系の確立により当初計画よりも迅速にスクリーニングされたバイオマーカーの確認や作用機序の解明を行うことができるものと期待される。特にラットではMG代謝酵素であるグリオキシラーゼ1(GLO1)を過剰発現するトランスジェニックラットからも培養細胞を調整可能であったことから、GLO1によりMGを低減させた場合についての検討も行うことができるものと期待される。
3: やや遅れている
次年度(25年度)以降に行う予定である、課題2「臓器障害におけるカルボニルストレスマーカーの役割の解明」を当初予定よりも円滑に行うために、新たに初代培養細胞を用いた実験系を導入することとした。この実験系の導入により、研究は少し遅延したが、培養細胞系の導入によって、以降の研究のスピードアップが期待される。
解析サンプルを増加してカルボニルストレスマーカーの候補を増やす。これに加えて既に得られているカルボニルストレスマーカー候補を同定する。同定したカルボニルストレスマーカーの役割を動物実験ならびに培養細胞実験により解明する。
当初本年度に購入予定であった2次元電気泳動装置と比較して、より再現性の高い機器が販売されたので、その有用性の検討を行うために本装置の購入予定を翌年度へと遅らせた。予備検討を終えているので、直接経費次年度使用額は次年度での当該装置の購入に充てる。
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