研究課題/領域番号 |
24390211
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 貞嘉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40271613)
|
研究分担者 |
森 建文 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375001)
庭野 吉己 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40375184)
佐藤 恵美子 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20466543)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | カルボニルストレス / メチルグリオキサール / 慢性腎臓病 (CKD) / バイオマーカー探索 / グリオキシラーゼ1 (GLO1) / モデル動物 / 初代培養細胞 |
研究概要 |
Methylglyoxal(MG)はカルボニルストレスの主要な原因物質であり、その代謝酵素であるglyoxalase1(GLO1)を過剰発現させたヒトGLO1過剰発現ラットを用い、MG暴露時の腹膜障害における腹膜保護効果について検討した。これにより、カルボニルストレス特異的なメカニズムを解析した。GLO1過剰発現ラットおよび対照のWistarラットに1mMのMGを20ml連日2週間腹腔内投与し生理食塩水投与群に比較して腹膜傷害を免疫組織化学的に検討した。肝臓周囲腹膜にはMGの投与により腹膜中皮細胞の脱落および間質への迷入と線維性肥厚がみられ、線維性肥厚はGLO-1の過剰発現により有意に抑制された。MGの投与による線維性肥厚部にcarboxylethyllysine, 8-hydroxydeoxyguanosine, monocyte chemoattractant protein 1, α-smooth muscle actin, transforming growth factor-β(TGF-β), matrix metallopeptidase 2 および vascular endothelial growth factorの発現増加を認めた。これらの反応はGLO1過剰発現ラットでは抑制された。ヒト培養腹膜中皮細胞にMGやTGF-βを負荷すると間葉化様の紡錘状細胞や大細胞化することが明らかになり、これらがカルボニルストレスによる臓器障害のバイオマーカーになりえることが示された。また、ヒトGLO1過剰発現ラットの腹膜中皮細胞を対照Wistarラットに移植し、腹膜でのヒトGLO1の発現を確認し、腹膜中皮細胞移植が成功したと考えられた。GLO1過剰発現ラットの腹膜中皮細胞培養を試みたが、GLO1の過剰発現が確認されなかった。そのため、GLO1発現プラスミドを作成し腹膜中皮細胞への遺伝子導入実験を開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題2「臓器障害におけるカルボニルストレスマーカーの役割の解明」をヒトGLO1過剰発現ラットと腹膜中皮細胞の初代培養細胞を用いた実験系によりスピードアップしてきた。しかしながら、GLO1過剰発現ラットからの腹膜中皮細胞培養でGLO1の過剰発現が確認できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
腹膜中皮細胞を用いた研究によりカルボニルストレスマーカーの障害特異性について検討が進むと考えられるが、GLO1過剰発現ラットからの腹膜中皮細胞培養でGLO1の過剰発現が確認できなかったことは細胞に直接遺伝子導入する手法に変更する。
|