研究分担者 |
徳永 勝士 東京大学, 医学部, 教授 (40163977)
土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80505892)
浜崎 敬文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20617774)
岡本 好司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80572247)
根岸 康介 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (40572219)
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研究概要 |
難治性疾患の中でネフローゼ症候群は本邦では頻度の高い疾患であり(推定患者数約3万),種々の病態生理により最終共通経路である大量の蛋白尿を呈するに至る.ネフローゼ症候群の発症様式を解明するには,大量蛋白尿制御と疾患発症成因の制御の2方向からのアプローチが必要である.本研究チームは,前者の観点からネフローゼ症候群の症例を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い,fibroblast growthfactor(FGF)作用を修飾する遺伝子のグリピカン[GPC]を疾患感受性遺伝子として同定した.特に,糸球体上皮細胞特異的にGPC5遺伝子発現を減弱させると,マウスネフローゼ症候群モデルにおいて蛋白尿を大幅に低減できることが判明し,膜型機能性ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)の一つであるGPC5の重要性を世界で初めて証明した(Nat Genet 43 : 459, 2011).この研究では,GPC以外にもSULF及び疾患感受性遺伝子GeneX(オッズ比3以上,genome-wide significance)を得ており,さらに研究を進める必要がある.また,疾患発症の観点からは,近年PLA2RとHLA-DQ1がネ症の一角を占める膜性腎症発症に強く関与することが欧米より報告されたことを踏まえ,本研究では研究チームの保有するゲノム検体を用いて検討を加える.次世代遺伝子解析装置ionPGMにより,国際的にも精確な疾患感受性領域の絞り込みの手法を本学より発信する.本研究によりネ症の発症様式への理解を深め,最適な蛋白尿制御法,疾患制御に結びつく診断指標の発見を最終目標とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DBF1によるネフローゼモデルを開発した.そのモデルを用いてSULFを検討する.DBF1は,C57B/6とDBAの2系統のマウスのF1を用いる必要がある.C57B/6とDBAのSULF遺伝子欠損マウスを作製し,2系統においてバッククロスを行った.その過程で,SULF遺伝子欠損マウスでの生後の致死率が30%と予想以上に高く増仔に時間を要しているため.また,これにより施設管理費等が増大している.
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