研究課題/領域番号 |
24390213
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
|
研究分担者 |
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50232509)
和田 健彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90447409)
大瀬 貴元 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10568447)
田中 哲洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90508079)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 低酸素 / HIF / エピジェネティクス / エピゲノム / ヒストン修飾 / 慢性腎臓病 / 腎細胞癌 |
研究概要 |
本研究は、従来ゲノムの観点のみから解析が行われていた低酸素応答について、エピゲノムの観点を取り入れて詳細な解析を行い、これを腎臓病学の病態生理に応用するものである。まず、培養血管内皮細胞を低酸素で刺激し、ピストン修飾蛋白の発現変動を解析し、その変動に相当するピストン修飾の変化をChIP-seqでゲノムワイドに解析し、種々の分子のhypoxia inducible factor(HIF)結合領域周辺の変化に注目して解析を進めた。なかでも低酸素状態で嫌気的解糖を助けるglucose transporter 3(SLC2A3)においては、低酸素に伴ってHIF依存性に発現が上昇するKDM3Aにより抑制性ピストン修飾の脱メチル化が起こり、更にクロモゾームの高次構造の変化が起こることにより、低酸素での発現上昇が起こることが分かった。また、この研究の過程で低酸素状態でHIFが結合する分子のうち新規HIFターゲット分子としてsperm-associated antigen 4(SPAG4)を同定した。癌細胞の生存には低酸素に対する抵抗性が重要であることが知られているが、SPAG4は通常の腎臓ではあまり発現がみられないが腎細胞癌では高発現し、SPAG4の高発現は腎細胞癌の予後と相関し、更にSPAG4は細胞質分裂の時にintercellular bridgeに局在して分裂を調節する役割を果たしていることを示した。一方、抗癌剤として使用されるanthracycline系の薬剤はHIFの抑制作用があり、これが抗癌剤としての効果の一端をになっているものの、その副作用としての心不全の発症にも寄与していることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管内皮細胞を使用した解析は順調に進行し、更にそこから派生した様々な研究の派生効果を得ることが出来ている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を応用して、尿細管細胞を使用した実験およびモデル動物を使用した実験を進めていき、腎臓病学の病態生理に応用していく。
|