研究課題
バイオインフォマティクスによって、多数の近位尿細管管腔膜輸送体と共発現変動する遺伝子を見いだし、そのノックアウト(KO)マウスを作製したところ、Fanconi症候群類似の糖、アミノ酸、尿酸の尿中排泄の顕著な上昇を示した。そのコードするタンパク質TRAPは、複数膜貫通型の新規膜タンパク質であり、腎特異的な発現を示し、近位尿細管管腔側膜に局在していた。Fanconi症候群は、近位尿細管の輸送体機能の広汎な障害であり、後天性のものと遺伝性のものがある。後天性のFanconi症候群は他の疾患に随伴する場合や、薬剤や重金属による尿細管上皮細胞のATP産生障害に起因するものが知られている。遺伝性のFanconi症候群には、代謝異常やミトコンドリア病によるものが報告されているが、原因が特定されていないものも多い。本研究は、網羅的解析を適用してTRAP KOマウスの表現型解析を行い、TRAPにより局在が制御される管腔側輸送体群の全体像と、それらの局在をTRAPが維持する機構を明らかにすることを目指した。本研究の成果は、Fanconi症候群の新たな原因遺伝子候補を提示するとともに、溶質輸送の生理学において個別の輸送体を統合する新たな視点を導入するものと期待される。平成26年度は、網羅的解析による全体像の解明に加え、個別の現象についてのより詳細な研究を進めた。抗TRAP抗体を用いて免疫沈降を行い、免疫沈降物を質量分析計で解析し、TRAPと複合体を形成する輸送体を複数同定した。これらの近位尿細管管腔膜の輸送体のうちのいくつかは、TRAP KOマウスの腎皮質において、その局在が変化していることを突き止めた。さらにTRAP KOマウスにおいて、発現が不安定になる輸送体を見出し、その輸送体に関連する生体因子の変動を明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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