研究概要 |
細胞質,細胞核において異なる働きを持つタンパク質品質管理機構に注目し,スクリーニングを行った.検出系としてはポリグルタミンタンパク質ハンチンチンのexon-1にGFPを付加したコンストラクトを安定的に発現する細胞系を構築した.ポリグルタミン鎖は25,47,72,97の4種類であり,それぞれNES,NLSを付加しており,細胞核特異的,細胞質特異的な発現を実現している.細胞株の確立にはフローサイトメトリー(FACS)を利用したため,従来のコロニー採取による細胞株の構築の際に問題となるクローニングによる特異的形質の獲得は回避されている.これらの細胞を使用して,HDACの機能をスクリーニングした.その結果特定のHDACにおいて細胞質と細胞核で凝集タンパク質の量に与える影響の異なることを同定した.方法としてはRNAi,過剰発現,そして特異的阻害薬の3方法を使用し,同様の結果を得ている.これらについて,凝集タンパク質の発現は蛍光顕微鏡ウェスタンブロットにて確認している. 今年度はこのメカニズムを詳細に理解する事を目標とした.HDACによるアセチル化増加をきたす分子についてスクリーニングし,ポリグルタミンタンパク質,特定の分子シャペロン等のHDACによるアセチル化亢進の程度を評価した.これにより,ポリグルタミンタンパク質のアセチル化の亢進,分子シャペロンのアセチル化亢進は否定されたため,現在はタンパク質品質管理機構に関与する様々なタンパク質についてHDACの影響を検討する事とした.
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