研究実績の概要 |
CRTCシグナルについては、CRTCをリン酸化するSIKキナーゼの各KOマウス、ダブルKOマウスでの検討を施行した。Caイメージング、電気生理学的にNa/K ATPaseを中心とした機能解析を施行し、更にSIKがCRTC-CREBシグナルを介して炎症性サイトカインを調節していることなどを現在投稿中である。他方、創薬については、アイソフォーム選択的HDAC阻害剤を中心に検討を行い、パーキンソン病モデルマウス(MPTPモデル)の大脳皮質において、HDAC1,2活性が上昇していることを見出すと共に、新規HDAC1,2選択的阻害剤K560が、MPTP処理前及び処理後いずれの経口投与でも、有意な神経細胞死防御効果を発揮することを認めた (Choong CJ, Sasaki T et al. Neurobiology of Aging, 2016,2016 Jan;37:103-16)。K560は我々によって独自に創製されたものであり、X-linked inhibitor of apoptosis (XIAP)の上昇並びに、p53 upregulated modulator of apoptosis (PUMA) の低下を介して、抗アポトーシス作用により神経細胞死を抑制した。なお、マウスの体重減少や臓器肥大などは全く観察されなかった。K560は四重極LC-MS/MSにて脳内移行することを証明し、パーキンソン病モデルマウス黒質において有意に神経細胞死を抑制した(Choong CJ, Sasaki T et al. )他方、選択的HDAC3阻害剤(Copmoud 11)についても、PDモデルにおいては神経保護効果を認めなかったが、脳虚血では神経保護に繋がることが示され、これらの薬剤については、物質、用途特許を含め計5本の特許出願を行い、うち2本はJST支援を得てPCT出願済みである。
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