研究実績の概要 |
ジストニアは全国で推計2万人を超える患者が存在し、パーキンソン病など他の基底核疾患にともなうジストニアも入れると5万人以上の患者が存在すると考えられ、その原因の解明と治療法の開発が急がれる。研究代表者らはこれまで伴性劣性ジストニア・パーキンソニズム(XDP, DYT3)の特徴的な病理所見や原因遺伝子が転写因子TAF1であることを報告し(Makino et al. Am J Hum Gen 2007)そのintronに挿入されたretrotransposonが、神経細胞特異的に発現しているTAF1タンパク(NTAF1)の発現を低下させていることを示してきた(Sako et al. Neuroscience 2011, Taniguchi-Ikeda et al. Nature 2011). 本研究ではこれらの知見に加えて、研究代表者らが新たに開発した「きわめて安全性の高い」ボツリヌス毒素製剤A2NTX(平成20年 先端医療技術開発特区「精神・神経分野における難病の克服に向けた医薬品・医療機器の開発」に指定)を用いて、その安全性に関する薬理試験を行った(文献8)またB型ボツリヌス毒素の頸部ジストニアでの臨床開発を行った。 ジストニアの発症機序にかんする研究としてdopamineの調節に関してcdk5シグナル伝達系が重要であることをしめし、SCA36におけるジストニアを初めて報告した。DYT6の新しい遺伝子変にによる症例を報告し(文献3)、DYT6における脳深部刺激術の適応を発表した(文献4)。DYT3におけるneuropeptide Yの病因としての役割を解明した。また、DYT3遺伝子の簡便な検査法を開発し、音楽家のジストニアの疾患関連遺伝子を発表した(文献2)。ジストニア全般の病理像についても解明した。またジストニアにBDNFが関与していることも発表した(文献6)
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