研究課題/領域番号 |
24390224
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
服部 信孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (80218510)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / パーキンソン病 / VPS35 / 遺伝子 |
研究概要 |
パーキンソン病(PD)はその多くが孤発性だが、約10%の患者は近親者に複数の発症者を認める家族歴がある。従ってパーキンソン病の病態を理解するためには、患者の遺伝的背景を明らかにすることが非常に重要である。vacuolar protein sorting35(VPS35)は欧米の高齢発症優性遺伝性パーキンソン病家系からエクソーム解析法を用いて単離された常染色体優性遺伝性パーキンソン病(ADPD)の新規原因遺伝子である。これまで報告された変異または多型は全て欧米人PDから同定されており、日本人を含めアジアからの報告はない。そこで順天堂大学PDゲノムバンクに登録されている日本人優性遺伝性PD300家系、孤発性PD433名、非血縁健常者579名に対して同遺伝子の変異の検索を行った。その結果、D620N(c.1858G>A)を優性遺伝性PD3家系(1.0%)、孤発性PD1例(0.23%)からヘテロ接合体で同定した。当該アミノ酸は酵母からヒトまで種を超えて保存されていた。他の非同義置換は認めなかった。また、健常群ではいずれの変異も認めなかった。VPS35のD620N変異の頻度を欧米人PDの頻度と比較すると欧米人PDでは0.1-0.2%でD620Nが陽性である。また既報のアジア人(台湾人、中国人)は合計1000例以上で解析が施行されているが全例で変異陰性である。本研究では、VPS35 D620NはPD全体の0.55%(4/733)であり、欧米から報告された頻度やアジアからの陽性例報告が未だないことを考慮すると頻度は高いと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本邦にも新規の遺伝子変異を有する患者の報告ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子産物の機能を明らかにするために培養細胞を用いたin vitroの実験、ならびにD620Nトランスジェニックマウスを利用したin vivoの解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はトランスジェニックマウスの飼育匹数が拡大することが予想される。その結果解析実験に使用する消耗品購入費が拡大するため24年度の経費を繰り越す。
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