研究課題/領域番号 |
24390225
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
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研究分担者 |
宮本 勝一 近畿大学, 医学部, 講師 (50388526)
西郷 和真 近畿大学, 医学部, 講師 (50319688)
平野 牧人 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (50347548)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ガングリオシド / 硫酸化糖脂質 / 脱髄 / ギラン・バレー症候群 / シアル酸 / ミエリン / 自己抗体 / 自己免疫 |
研究概要 |
ギラン・バレー症候群(GBS)やIgMパラプロテイン血症を伴うニューロパチーでは、シアル酸を糖鎖に有するガングリオシドや硫酸基をもつスルファチドおよび硫酸化グルクロン酸基含有複合糖質などに対する抗体が高頻度にみられる。また多発性硬化症や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)でも、抗体上昇が報告されている。これら糖鎖に対する自己抗体の検討を行うとともに、陽性例におけるBリンパ球の上記糖鎖への免疫応答の抑制因子の解析を行った。ガラクトセレブロシド(Gal-C)はミエリンの主要な糖脂質であり、Gal-Cに対する抗体は動物実験で脱髄因子として働くことが示されている。ヒトのGBSでは、マイコプラズマ肺炎後の症例で抗Gal-C抗体陽性例が多いこと、病原因子であるMycoplasma pneumoniaeにはGal-C様糖鎖があり抗体産生は分子相同性機序によると考えられることなどが報告されていたが、多数例の解析は行われていなかった。今回抗Gal-C抗体陽性GBSの47例の解析により、同抗体陽性例は脱髄型GBSが多いこと、感覚障害と自律神経障害を伴うことが多いことが明らかとなった。また、抗ガングリオシド抗体の陽性頻度が高いGBSについて、わが国の症例の特徴について全国調査をして検討した。その結果、全体としては脱髄型が多いが、欧米と比べると軸索型の頻度が高いこと、抗GQ1b抗体がほとんどの例で陽性となる亜型であるフィッシャー症候群の頻度が、GBS全体の26%であり欧米の頻度と比べて高いことが明らかとなった。また軸索型と抗GM1抗体陽性が関連することも確認された。糖鎖へのBリンパ球応答の抑制因子としてSiglecに着目して、遺伝子の解析を行ったところ、GBSの一部で遺伝子変異の存在が見出された。今後さらに症例数を増やして検討する予定である。また中枢神経の免疫疾患である多発性硬化症との関連も検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析サンプルは順調に集積しており、糖鎖に対する抗体活性の解析も順調にすすめられている。遺伝子解析は担当者が数か月不在の時期がありやや遅れが生じたが、平成26年度には当初予定のペースに十分戻すことができる。連携研究者との連携もスムーズである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、抗体解析、遺伝子解析とリンパ球表面マーカー解析をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子解析は担当者が数か月不在の時期がありやや遅れが生じ、その分予定の経費をやや下回る使用額となった。 平成26年度には、上記の分を含めて予定通りの経費が必要となる。
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