研究課題
本研究は、核膜関連筋疾患の病態解明を目的に、エメリンおよびラミンA変異マウスを用いて研究を行った。エメリン欠損マウス(ED)では軽度の心伝導障害のみを、ラミンA変異導入マウス(H222P)は重症心不全と軽度の筋変性を、二重変異マウス(EH)では軽症の心不全と中等度の筋変性を示す。① 心房筋を用いた遺伝子発現解析:3種のモデルマウスにおける心筋障害の差異、ならびに心障害の初期変化を明らかにする事を目的に、症状出現前のマウス心房筋を用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、ED、H222Pでは野生型と比較して、arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy(ARVC)関連遺伝子の発現上昇が認められたが、EHではその変化が乏しかった。一方、ストレス関連遺伝子の発現はEHでも他のモデルマウス同様発現上昇が認められた。本疾患の特徴の1つである伝導障害の原因となる変化については、現在検討中である。② 筋再生能の検討:変異マウス骨格筋に薬剤性筋壊死を誘導し、再生過程を検討した結果、単回投与では明らかな変化は認められなかった。現在、複数回投与による筋再生能についての検討を進めている。③ リン酸化ラミンA発現マウスの解析:我々はA型ラミン関連筋疾患に特異的なリン酸化ラミンの発現を見いだし、リン酸化ラミン発現マウスを作製し、解析を行っている。このマウスは、ややサイズが小さいながらも通常に発育し、継代も可能である。また、リン酸化ラミン発現マウスとA型ラミン欠損マウスと交配したところ、若干の寿命の延長が認められたのみであり、明らかな改善は得られなかった。このマウスから作製した線維芽細胞では、リン酸化ラミンの発現が経時的に減少することを見いだしており、リン酸化ラミンの排除機構について現在検討中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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