研究課題
糖尿病性腎症は、糖尿病患者の生命予後を規定する重要な臓器合併症のひとつである。腎細小血管障害が本態であり、高血糖が発症・進展に直接/間接的に関与すると考えられているが、その分子機序については不明な点が多い。我々は、高濃度グルコースが、腎メサンギウム細胞においてグルコース応答性転写因子ChREBPを介して作動させる遺伝子発現調節系の意義の究明を続けている。本研究は、1)グルコース応答性転写因子がいかなるエフェクター分子を作動させるか、2)エフェクターがいかなる遺伝子発現調節に寄与し、いかなる病態生理に関与するか、を解明し、糖尿病性腎症の発症および病態の成立・進展におけるグルコース応答性転写因子の役割を究明する事を目的とするものである。今年度は、昨年度に続きChREBPによるmembrane-bound transcription fctaor peptidase site 1(MBTPS1)の誘導と、その基質であるATF6活性化の意義の解明に取組んだ。ATF6は小胞体ストレス応答制御に関わる膜型転写因子であるが、高グルコースによるATF6の活性化はその下流でアポトーシス制御分子C/EBP homologous proteinを選択的に作動させ、Caspase 12を介したアポトーシスを誘導する事を明らかにした。ChREBPがアポトーシス制御に関わるあらたな経路を解明したといえる。また、MBTPS1は糖尿病モデルマウスの腎組織でも発現が誘導されており、高グルコースーMBTPS1誘導は生体内でも観察される事が判明した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Physiological Reports
巻: 4 ページ: 1-13
10.14814/phy2.12730
PLosONE
巻: 11 ページ: 1-20
10.1371/journal.pone.0150897