研究課題
基盤研究(B)
1.肝臓特異的Elov16欠損マウスの解析:Elov16欠損マウスにおいて、エネルギー代謝関連遺伝子の発現変化とインスリン感受性の亢進が認められた肝臓におけるElov16の生理的・病態生理的意義をさらに解明するために、肝臓特異的Elov16欠損マウスを作製し、そのエネルギー代謝やインスリン感受性、生活習慣病病態を解析している。Elov16欠損マウスと具なり、肝細胞特異的Elov16欠損マウスでは高脂肪・高ショ糖食によるインスリン抵抗性は抑制されないこと、高ショ糖食の摂取により、肝細胞特異的Elov16欠損マウスではインスリン感受性の亢進が認められることを見出した。2.2型糖尿病の発症・進展におけるElov16の意義の解析:肥満・2型糖尿病モデルdb/dbマウスとElov16欠損マウスの交配動物を作製し、2型糖尿病の発症・進展におけるElov16の意義を解析している。db/dbマウスに比べてdb/db-Elov16 KOマウスは血糖値およびHbAlc値が有意に低下し、糖尿病の発症・進展が抑制されることを見出した。db/db(Elov16 KOマウスでは膵β細胞量の増加と摂食時の血中インスリン値の上昇が認められており、この膵β細胞機能の亢進により糖尿病の発症が抑制されるものと考えられる。3.高次脳機能におけるElov16の役割の解析:Elov16は脳で高い発現を示し、Elov16欠損マウスでは脳重量の増加、記憶・学習障害、不安・恐怖の亢進、運動協調性の低下、意欲の低下、食餌嗜好性の変化など、高次脳機能に異常が認められた。すなわち、Elov16は中枢神経系の形成や機能維持、精神疾患の発症に重要と考えられる。また、脳特異的Elov16欠損マウスを作成し、Elovl6欠損マウスと同様に脳重量が増加することを確認した。
2: おおむね順調に進展している
実験モデル動物の作製に成功し、期待される結果も出てきているため。
各モデル動物の表現型に基づいた脂質分析、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を行い、Elov16による細胞機能制御機構を分子レベルで明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
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http://www.u-tsukuba-endocrinology.jp/